神保町シアター

S6('31)／日活太秦／白黒／スタンダード／1時間

■監督・脚本：伊藤大輔■撮影：唐澤弘光■出演：大河内傳次郎、伏見直江、伏見信子、山口佐喜雄、山本禮三郎、高瀬(勢)實乗

伊藤大輔と大河内傳次郎の名コンビによる傑作時代劇。上方へ逃れた鼠小僧次郎吉はお仙と出会い、ある娘を助けようとする…。伏見直江の壮絶な"女の一念"に圧倒される。

＊16mm上映

S7('32)／松竹蒲田／白黒／スタンダード／1時間30分

■監督：小津安二郎■原作：ゼェームス槇■脚本：伏見晁、燻屋鯨兵衛■撮影：茂原英朗(雄)■美術：河野鷹思■出演：斎藤達雄、吉川満子、坂本武、菅原秀雄、突貫小僧、加藤清一

小津が初のキネ旬第1位となったサイレント映画史に輝く傑作。子供の視点からサラリーマンの父の悲喜こもごもを絶妙な笑いと共に描く。小津の撮る子供は絶品の一言。

S8('33)／松竹蒲田／白黒／スタンダード／1時間40分

■監督：小津安二郎■原作：ジェームス槇■脚本：池田忠雄■撮影：杉本正二郎■美術：脇田世根一■出演：坂本武、突貫小僧、大日方伝、伏見信子、飯田蝶子

坂本武演じる人情に厚い男が主人公の「喜八もの」の第一作。想いを寄せながらも若い女の恋を応援する男やもめに泣き笑い。何度見てもほろりとする人情喜劇の名作。

S6('31)／松竹蒲田／白黒／スタンダード／1時間31分

■監督：小津安二郎■原案・脚本：北村小松、野田高梧■撮影：茂原英朗(雄)■舞台設計：脇田世根一■出演：岡田時彦、八雲恵美子、斎藤達雄、飯田蝶子、坂本武、高峰秀子

同僚をかばい会社を解雇されたサラリーマンは、妻子を抱え職探しに奔走する。サラリーマンの人生の哀感を洒落た笑いを散りばめて描く傑作。娘役の高峰にも注目を。

S7('32)／松竹蒲田／白黒／スタンダード／1時間18分

■監督：成瀬巳喜男■原作：柳川春葉■脚本：野田高梧■撮影：猪飼助太郎■美術：浜田辰雄■出演：岡田嘉子、奈良眞養、筑波雪子、小島壽子、葛城文子、岡譲二、結城一朗、阿部正三郎、宮島健一、河原侃二、大山健二、花岡菊子、突貫小僧

生みの母と育ての母が娘をめぐって対立する。若き成瀬巳喜男の大胆なカメラワークと細やかな演出に舌を巻く。岡田嘉子の実母がアメリカ帰りの女優というのも面白い。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

S8('33)／松竹蒲田／白黒／スタンダード／1時間4分

■監督・原作：成瀬巳喜男■脚本：池田忠雄■撮影：猪飼助太郎■美術：浜田辰雄■出演：栗島すみ子、斉藤達雄、木島照子、新井淳、吉川満子、坂本武、大山健一、小倉繁、飯田蝶子、沢蘭子

『君と別れて』と共に成瀬の出世作となった作品。港町で女給をする女のもとに、出て行ったはずの夫が帰るが…。日本映画初期の大女優・栗島すみ子が女の強さを熱演。

S6('31)／松竹蒲田／白黒／スタンダード／38分

■監督・脚本：成瀬巳喜男■撮影：三浦光男■出演：山口勇、浪花友子、加藤精一、明山靜江、菅原秀雄、関時男

現存する成瀬の最古の作品。保険外交員を主人公にしたナンセンス喜劇。仕事も家庭も苦労が尽きないサラリーマンの悲哀を無声独特のユニークな映像表現で描く。

S8('33)／松竹蒲田／白黒／スタンダード／1時間12分

■監督・原作・脚本：成瀬巳喜男■撮影：猪飼助太郎■美術：浜田辰雄■出演：吉川満子、磯野秋雄、水久保澄子、河村黎吉、富士龍子、藤田陽子、突貫小僧、飯田蝶子

芸者の母の仕事を嫌い不良仲間に入った一人息子と心を通わす若い芸者。二人の淡い恋から厳しい境遇に生きる女たちを丹念に描く。成瀬の無声時代の代表作。

＊16mm上映

S10('35)／第一映画／白黒／スタンダード／1時間30分

■監督：溝口健二■原作：泉鏡花『売色鴨南蛮』■脚本：�燗�達之助■撮影：三木稔■美術：小栗美二■出演：夏川大二郎、山田五十鈴、芳沢一郎（羅門光三郎）、芝田新、島井正、藤井源市

若い男の勉学を助ける悪党の情婦。女は身を滅ぼしてまで男を支えるが…。17歳の山田五十鈴の美しさに目を奪われる。神田明神、ニコライ堂など当時の神田界隈の風景も貴重。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

S8(33)／松竹蒲田／白黒／スタンダード／1時間11分

■監督：清水宏■原作：北林透馬■脚本：陶山密■撮影：佐々木太郎■舞台設計：金須孝■舞台装置：矢萩太郎■出演：及川道子、井上雪子、江川宇礼雄、沢蘭子、逢初夢子、齋藤達雄、南條康雄

横浜を舞台に二人の女と一人の男が辿る運命を描く、清水宏初期の傑作。港町の異国情緒をロケーション撮影で際立たせるモダンなメロドラマ。伝説の二人の女優（及川、井上）も必見。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品