神保町シアター

S14('39)／新興京都／白黒／スタンダード／56分

■監督：森一生■脚本：依田義賢■撮影：廣田晴巳■音楽：武政英策■美術：上里義三■出演：ミス・ワカナ、玉松一郎、ラッキー、セブン、ラッパ、日佐丸、奴、喜蝶、森光子、伴淳三郎

人気漫才コンビのワカナ･一郎をはじめ、関西の人気芸人たちが出演する漫才時代劇コメディ。伊勢参宮の旅籠屋での騒動を、話芸をまじえ賑やかに描く、森光子最初期の出演作の一本。森は、旅籠の娘を愛らしく演じている。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

S32('57)／宝塚映画／白黒／スタンダード／55分

■監督：小田基義■原作：大島得郎『金語楼の強情親爺』■脚本：新井一■撮影：西前弘■音楽：河村篤二、平岡精二■美術：近藤司■出演：柳家金語楼、ペギー葉山、有島一郎、横山エンタツ、中田ダイマル･ラケット、環三千世、森光子、若水ヤエ子

金語楼扮する"強情親爺"が奮闘する、人気ラジオ番組の映画化。ラジオで共演したエンタツら上方芸人に鍛えられた森の、堂々たるコメディエンヌぶりは見物。ペギー葉山の歌声も懐かしい、抱腹絶倒の明朗喜劇。

S39('64)／東京映画／カラー／シネスコ／1時間29分

■監督：佐伯幸三■脚本：長瀬喜伴■撮影：黒田徳三■音楽：松井八郎■美術：狩野健■出演：森繁久彌、伴淳三郎、森光子、淡島千景、フランキー堺、池内淳子、淡路恵子、加東大介

森繁主演で人気を博した「駅前」シリーズ第七作。両国の酒屋の店主･徳之助(森繁)と、柳橋で寿司屋を営む義弟の孫作(伴淳)が、色女たちに振り回されるドタバタ風俗喜劇。森は徳之助の妻･満子役で登場。

S37('62)／東宝／カラー／シネスコ／1時間35分

■監督：鈴木英夫■脚本：升田商二、鈴木英夫■撮影：逢沢譲■音楽：池野成■美術：竹中和雄■出演：司葉子、宝田明、水野久美、原知佐子、山崎努、北あけみ、森光子

"お嬢様"がはまり役だった司が、男勝りのBG(ビジネスガール)を演じ、その意外性も魅力となった女性映画の傑作。森は、自立して生きる司とは対照的な姉の役で、頼りない旦那との生活に苦しむ女を演じている。

S38('63)／東京映画／カラー／シネスコ／1時間50分

■監督：豊田四郎■原作：谷崎潤一郎■脚本：八住利雄■撮影：岡崎宏三■音楽：団伊玖磨■美術：伊藤熹朔■出演：森繁久彌、淡島千景、団令子、淡路恵子、池内淳子、森光子、乙羽信子、中尾ミエ

ある作家夫婦と、彼らに仕えてきた家政婦たちを通して描く昭和の家庭史。昔気質の女や蓮っ葉な娘、中には歌う家政婦まで、年代ごとに変貌する家政婦像を、個性豊かな女優陣がユーモラスに演じている。

S38('63)／宝塚映画／白黒／シネスコ／1時間45分

■監督：久松静児■原作：菊田一夫■脚本：藤本義一■撮影：黒田徳三■音楽：広瀬健次郎■美術：加藤雅俊■出演：司葉子、三益愛子、新珠三千代、森光子、佐田啓二、中村鴈治郎、浪花千栄子

丼池筋の問屋街で女だてらに高利貸しを営むカツミ(司)を主人公に、私利私欲に目がくらんだ女たちが繰り広げるコテコテの群像劇。お色気を武器にがめつく生きる女･マサを、関西喜劇界で鍛えられた森が演じる。

S38('63)／松竹大船／白黒／シネスコ／1時間49分

■監督：井上和男■原作：獅子文六『可否道』■脚本：白坂依志夫■撮影：堂脇博■音楽：山本直純■美術：梅田千代夫■出演：森光子、川津祐介、加賀まりこ、加東大介、松村達雄、長門裕之、清川虹子、柳家小さん

珈琲通が集まる「可否会」のアイドル的存在･モエ子を巡る滑稽劇。円熟した魅力の森は、年下の演劇青年をひもに持つ落ち目の女優･モエ子を生々しく演じ、印象的なヒロイン像を作り上げた。

S39('64)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間35分

■監督：渋谷実■原作：舟橋聖一■脚本：白坂依志夫、渋谷実■撮影：長岡博之■音楽：黛敏郎■美術：浜田辰雄■出演：真理明美、佐田啓二、笠智衆、森光子、中原早苗、千之赫子、川津祐介、長門勇、加藤武

健康的な色気で注目された真理明美の初主演作。森の役どころは、家計を助けるために高校を中退した姪(真理)を、水着モデルにしようと画策する飲み屋の女将で、店に集う客らとのやり取りで巧みな話芸を披露する。

S39('64)／松竹大船／白黒／シネスコ／1時間28分

■監督・脚本：桜井秀雄■原案：寺山修司■撮影：西川亨■音楽：木下忠司■美術：芳野尹孝■出演：鰐淵晴子、森光子、千秋実、田中絹代、奈良真養、三上真一郎、田村正和、中村晃子

川崎を舞台に、三代にわたる母娘の複雑な愛情を描いた家族劇。病に倒れた夫の代わりに生活を支える千枝子(森)は、新聞に投稿した詩をきっかけに、生別した母の消息を知るが…。森の娘役･鰐淵の可憐さが胸を打つ。

S40('65)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間33分

■監督・脚色：中村登■原作：里見�怐A小津安二郎■撮影：成島東一郎■音楽：山本直純■美術：大角純一■出演：森光子、岩下志麻、山形勲、三宅邦子、太田博之、乙羽信子、桑野みゆき、川崎敬三

京都の小料理屋の娘(岩下)は、母(森)の勧める縁談に反発し、東京での自由を満喫するが…。父のいない娘をめぐる人間模様を細やかに綴る名篇。娘を想う母心を森が絶妙に演じる。脇を固める名優たちも好演。

S41('66)／大映東京／白黒／シネスコ／1時間47分

■監督：山本薩夫■原作：三浦綾子■脚本：水木洋子■撮影：中川芳久■音楽：池野成■美術：間野重雄■出演：若尾文子、安田道代、山本圭、船越英二、森光子、津川雅彦、成田三樹夫

幼い娘の命を奪った男の娘を養女に迎えた病院長一家の愛憎を濃密に描くメロドラマで、三浦綾子のベストセラー小説の映画化。義母(若尾)と義娘(安田)の女の情念を、森ら充実の俳優陣が盛り立てる。

S42('67)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間35分

■監督：中村登■原作：平岩弓枝■脚本：平岩弓枝、中村登■撮影：竹村博■音楽：佐藤勝■美術：梅田千代夫■出演：新珠三千代、加賀まりこ、香山美子、森光子、早川保、平幹二朗、東野英治郎

老舗の組み紐屋の家督相続で、長女(新珠)と腹違いの妹二人(香山、加賀)の間に波風が立つ。三者三様の女性の生き方を描く佳篇で、ベルリン映画祭にも出品された。森が巧みに演じる、妹たちの強欲な母親像が出色。

S42('67)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間28分

■監督：大庭秀雄■原作：菊島隆三■脚本：菊島隆三、下飯坂菊馬■撮影：川又�ｴ■音楽：池田正義■美術：佐藤公信■出演：岩下志麻、栗塚旭、山形勲、加藤治子、左幸子、森光子、砂塚秀夫

母ひとり子ひとりで育った娘(岩下)は、母を心配するあまり結婚に踏み切れず、出奔した父(山形)を連れ戻そうとするが…。娘と父の哀歓を綴り、爽やかな感動を誘う一篇。山形、左、森らベテラン俳優が好演する。

S42('67)／東宝／カラー／シネスコ／1時間47分

■監督：成瀬巳喜男■脚本：山田信夫■撮影：逢沢譲■音楽：武満徹■美術：中古智■出演：加山雄三、司葉子、草笛光子、森光子、浜美枝、加東大介、土屋嘉男、浦辺粂子

交通事故で夫を失った妻(司)と、加害者の青年(加山)の許されざる愛の行方を描く、名匠･成瀬監督の遺作。苦悶する司の端正な美しさに目を奪われる。森は司の兄嫁役で、司とは対照的な女の逞しさを見事に表現。

S43('68)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間34分

■監督：中村登■原作：山口瞳『結婚しません』■脚本：松山善三、中村登■撮影：竹村博■音楽：佐藤勝■美術：横山豊■出演：岩下志麻、竹脇無我、生田悦子、森光子、山形勲、市川好郎、有島一郎

二人の女性(岩下･生田)の恋愛･結婚と、彼女らを見守る父親たちの心情を描く。同じ中村監督の『暖春』『惜春』と「春」三部作と称される作品。森は、母のいない岩下を気遣う生田の母役を快活に演じている。

S43('68)／東映／カラー／シネスコ／1時間32分

■監督：瀬川昌治■原作：岸宏子『ある開化』、花登筐『喜劇・売らいでか！』■脚色：池上金男、瀬川昌治■撮影：山沢義一■音楽：木下忠司■美術：江野慎一■出演：フランキー堺、佐久間良子、森光子、芦屋小雁、多々良純、川崎敬三、橘ますみ、浦辺粂子

富豪の未亡人の夜のお相手となった運転手が、妻から50万円で売り飛ばされてしまう。瀬川監督お得意の奇抜な艶笑喜劇の快作。手にした金を元手に大胆に転身する妻役の森が絶品で、喜劇女優の才能を存分に披露。

S62('87)／東宝／カラー／ヴィスタ／2時間10分

■監督：市川崑■原作：新藤兼人『小説 田中絹代』■脚本：新藤兼人、日高真也、市川崑■撮影：五十畑幸勇■音楽：谷川賢作■美術：村木忍■映画史監修：田中純一郎■出演：吉永小百合、森光子、菅原文太、石坂浩二、渡辺徹、沢口靖子、中井貴一、横山道代、常田富士男

世紀の大女優･田中絹代の半生を描いた新藤兼人の原作を映画化。エピソードに登場する清水宏や溝口健二ら巨匠たちが、名前の一部を変えた役名となっているのも面白い。森は絹代の母親役を趣深く演じた。