神保町シアター

S12('37)／松竹大船／白黒／スタンダード／1時間13分

■監督：清水宏■脚本：斎藤良輔■撮影：青木勇■音楽：伊藤宜二、小澤耀安■美術：江坂実■出演：桑野通子、佐野周二、爆弾小僧、突貫小僧、岡村文子、忍節子、水戸光子、大山健二

本牧のチャブ屋で働くお雪(桑野)は、女手一つで息子・春雄を育てる逞しい女性。ある日、お雪の商売が仇となり、春雄は学校で孤立してゆく…。メロドラマと子供映画、二つの側面を持つ、巨匠・清水の傑作。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

S11('36)／松竹蒲田／白黒／スタンダード／1時間16分

■監督・脚本：清水宏■原作：川端康成■撮影：青木勇■音楽指揮：堀内敬三■出演：上原謙、桑野通子、河村黎吉、石山隆嗣、仲英之助、久原良子

南伊豆を巡る乗り合いバスの運転手・ありがとうさんと、様々な乗客との道中での触れ合いを綴る至高のロードムービー。物語の鍵を握る男勝りの酌婦を演じた桑野通子の、洒落たユーモアと色香は絶品。

S39('64)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間47分

■監督：中村登■原作：太田経子（「小説中央公論」所載）■脚本：権藤利英■撮影：成島東一郎■音楽：日暮雅信■美術：佐藤公信■出演：桑野みゆき、平幹二朗、園井啓介、木村功、千石規子、菅原文太

昨年ベネチア映画祭でも上映され世界的評価を高めた、隠れた名作。新宿を舞台に、やくざ者の男に惚れたが為に身を落とす女の悲劇を、哀愁たっぷりに描く。桑野の美貌が神々しく輝く奇跡の一本。

S39('64)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間33分

■監督・脚本：吉田喜重■撮影：成島東一郎■音楽：武満徹、八木正生■美術：芳野尹孝■出演：鈴木やすし、桑野みゆき、待田京介、坂本スミ子、市原悦子、内田良平、早野寿郎

吉田喜重がアクションに挑んだ異色作で東京オリンピック開催に沸く中、日本脱出を渇望する若者の逃走と破滅を描く。若者と逃亡を共にするトルコ嬢役の桑野みゆきの、猫のようなしなやかさが抜群。

S34('59)／松竹大船／白黒／シネスコ／1時間48分

■監督：井上和男■原作：上田平雄■脚本：山内久■撮影：長岡博之■音楽：真鍋理一郎■美術：浜田辰雄■出演：佐田啓二、桑野みゆき、三上真一郎、瞳麗子、東野英治郎、青山京子

不良ばかりのクラスを受け持つ新任高校教師(佐田)は、様々な問題に直面し、生徒との信頼を強めていく。教師と生徒の絆に涙する学園ドラマ。佐田に恋する女生徒役の桑野みゆきは、水着姿で美脚を披露。

S13('38)／松竹大船／白黒／スタンダード／1時間39分

■監督：清水宏■原作：吉屋信子■脚本：池田忠雄■撮影：斎藤正夫、厚田雄春■音楽：伊藤宣二■出演：佐分利信、上原謙、桑野通子、高杉早苗、三宅邦子、三浦光子、大山健二、藤野秀夫、吉川満子

水商売出の蓮っ葉な妻(桑野)を持て余す辻(上原)と、政略結婚した生方(佐分利)。互いの干渉によって、友人関係にある二人の対照的な結婚生活に波風が立つ様子を描いた、家庭ドラマの秀作。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

S11('36)／松竹大船／白黒／スタンダード／1時間11分

■監督：島津保次郎■原作：横光利一■脚本：池田忠雄■撮影：桑原�ｴ、水谷至宏■音楽：早乙女光■美術：脇田?根一■出演：佐分利信、及川道子、桑野通子、高田浩吉、高杉早苗、斎藤達雄、阪本武、飯田蝶子、藤野秀夫

東京と大阪を舞台に、若き株屋(佐分利)をめぐる金と欲、恋を描く。桑野は上品に着物を着こなし、主人公に思いを寄せる令嬢を印象的に演じている。桑野と同様に、夭逝の女優・及川道子の遺作。

＊16mm上映

S16('41)／松竹大船／白黒／スタンダード／1時間45分

■監督：小津安二郎■脚本：池田忠雄、小津安二郎■撮影：厚田雄治（春）■音楽：伊藤�d二■美術：浜田辰雄■出演：佐分利信、高峰三枝子、葛城文子、桑野通子、吉川満子、三宅邦子、斎藤達雄、飯田蝶子

戸田家では当主が急死し、老母と三女が行き場を失い…。家族の崩壊と新たな再建を描いた小津ならではの名篇。桑野通子は三女・高峰の親友役で登場、出演場面は少ないが、女同士の語らいが印象に残る。

S33('58)／松竹大船／カラー／スタンダード／1時間58分

■監督：小津安二郎■原作：里見��■脚本：野田高梧、小津安二郎■撮影：厚田雄春■音楽：斉藤高順■美術：浜田辰雄■出演：佐分利信、田中絹代、有馬稲子、佐田啓二、山本富士子、久我美子、桑野みゆき、笠智衆

長女が決めた結婚話を突然聞いた父親は、腹を立て反対するが…。豪華出演陣の共演が絶妙な小津初のカラー作品。小津映画初出演の桑野みゆきは、姉を援護する次女を溌剌と演じ、母・通子の面影が重なる。

S40('65)／松竹大船／カラー／スタンダード／1時間45分

■監督：渋谷実■原作：野田高梧、小津安二郎■脚本：白坂依志夫■撮影：長岡博之■音楽：黛敏郎■美術：芳野尹孝■出演：笠智衆、乙羽信子、加賀まりこ、桑野みゆき、岩下志麻、岡田茉莉子、長門裕之、有馬稲子

何不自由なく暮らす中年会社員が、弟の不祥事をきっかけに蒸発し…。小津が遺した企画を原案に、ゆかりの俳優達が出演し、渋谷監督独特の滑稽味が加わった悲喜交々の人間模様。桑野みゆきも勿論登場。

S10('35)／松竹蒲田／白黒／スタンダード／1時間4分

■監督：清水宏■原作：源尊彦■脚本：荒田正男■撮影：野村昊■音楽：早乙女光■美術：脇田世根一■出演：藤井貢、吉川満子、三井秀男、桑野通子、岩田祐吉、突貫小僧、市村美津子、横山準、近衛敏明

失踪した父に代わって三人の子供を育て上げた母。しかし、母の隠された生業を知った子供達は家出してしまう。桑野は、売春婦に身を落としながらも家族の再生を願う長女を、クールに演じてみせた。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

S13、14('38、39)／松竹大船／白黒／スタンダード／1時間29分

■監督：野村浩将■原作：川口松太郎■脚本：野田高梧■撮影：高橋通夫■音楽：万城目正■出演：田中絹代、上原謙、佐分利信、桑野通子、水戸光子、大山健二、吉川満子、斎藤達雄、坂本武

恋に落ちた子持ちの看護婦(田中)と病院の御曹司(上原)を、次々と障害が待ち受ける。主題歌も大ヒットしたメロドラマの古典的名作。桑野通子は上原の縁談相手役で、洋行帰りの令嬢姿がひと際麗しい。

S35('60)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間36分

■監督・脚本：大島渚■撮影：川又�ｴ■音楽：真鍋理一郎■美術：宇野耕司■出演：桑野みゆき、川津祐介、久我美子、渡辺文雄、小林トシ子、二本柳寛、山茶花究、森川信、佐藤慶

60年安保闘争最中の東京で出会い、欲望のままに生きる大学生と少女は―。衝撃の青春を描き、松竹ヌーヴェル・ヴァーグの嚆矢となった名作。桑野みゆきの代表作で、清純派を一新するヒロイン像が鮮烈だ。

S40('65)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間36分

■監督：中村登■原作：曽野綾子■脚本：権藤利英■撮影：篠村荘三郎■音楽：日暮雅信■美術：佐藤公信■出演：桑野みゆき、田村正和、伊藤孝雄、吉村実子、石立鉄男、早川保、中村晃子、倍賞千恵子

オリンピック景気に湧く東京の片隅、渋谷の歌声喫茶を舞台に情熱的に生きる若者たちの姿を描いた青春群像劇。時代に翻弄される等身大のヒロイン・暁子を、桑野が熱っぽく演じる。

S39('64)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間27分

■監督：山田洋次■原作：藤原審爾『庭にひともと白木蓮』■脚本：加藤泰、山田洋次■撮影：高羽哲夫■音楽：山本直純■美術：佐藤公信■出演：ハナ肇、桑野みゆき、花沢徳衛、犬塚弘、桜井センリ、安田伸、渥美清、藤山寛美

"寅さん"に連なる山田喜劇の原点となった、ハナ肇主演「馬鹿シリーズ」第一作。瀬戸内の町にやって来た風来坊が巻き起こす破天荒な騒動記。ハナが惚れる未亡人・桑野みゆきの清楚なマドンナぶりに見とれる。

S9('34)／松竹蒲田／白黒／スタンダード／1時間37分

■監督：清水宏■原作：久米正雄■脚本：荒田正男■撮影：佐々木太郎■音楽：江口夜詩■美術：脇田世根一■出演：藤井貢、川崎弘子、桑野通子、金光嗣郎、山口勇、坪内美子、近衛敏明、吉川満子、突貫小僧

ダンスホールの花形だった八頭身美女・桑野通子の鮮烈なデビュー作。モダン東京を背景に描かれる、出会いと別れが複雑に交差するメロドラマ大作。松竹蒲田オールスターを配した豪華版。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

S21('46)／松竹大船／白黒／スタンダード／1時間21分

■監督：溝口健二■脚本：野田高梧、新藤兼人■撮影：生方敏夫■音楽：浅井挙曄■美術：本木勇■出演：田中絹代、桑野通子、三浦光子、徳大寺伸、若水絹子、風見章子、奈良眞養、�煖ｴ豊子

わずか十二年の女優人生に幕を閉じた、桑野通子の遺作。社会的な女性の解放を追い求める熱血女弁護士(田中)の孤独な闘いを描いた女性映画で、桑野は主人公の姉役。巨匠・溝口の戦後第一作目でもある。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

S12('37)／松竹大船／白黒／スタンダード／1時間11分

■監督：小津安二郎■脚本：伏見晁、ゼームス槇■撮影：茂原英雄、厚田雄春■音楽：伊藤�d二■美術：浜田辰雄■出演：栗島すみ子、桑野通子、斎藤達雄、佐野周二、吉川満子、飯田蝶子、坂本武、上原謙

大阪から押しかけて来た姪と、彼女に振り回される大学教授の叔父のやり取りを洒脱に描く、都会派喜劇の傑作。流行ファッションに身を包んで銀座を闊歩する桑野の姿は、最高にスタイリッシュ。

S35('60)／松竹大船／カラー／スタンダード／2時間9分

■監督：小津安二郎■原作：里見��■脚本：野田高梧、小津安二郎■撮影：厚田雄春■音楽：斉藤高順■美術：浜田辰雄■出演：原節子、佐分利信、司葉子、岡田茉莉子、中村伸郎、北竜二、佐田啓二、桑野みゆき、笠智衆

未亡人の母を思い、結婚に踏み切れない娘のために、母親の再婚話が企てられ…。絶妙のユーモアと親子の情愛が心に響く小津晩年の名作。小津映画再登場の桑野みゆきは、佐分利のドライな娘役が可愛い。

S35('60)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間30分

■監督：大庭秀雄■原作：井上靖『青衣の人』■脚本：柳井隆雄、大庭秀雄■撮影：長岡博之■音楽：池田正義■美術：芳野尹孝■出演：岡田茉莉子、佐田啓二、桑野みゆき、山本豊三、三宅邦子、毛利菊枝、仲谷昇、永井智雄

結婚間近の女(岡田)の、傷ついた姪(桑野)を助けたのは、かつて恋した陶芸家(佐田)だった…。偶然の再会が火をつけた大人の恋愛を綴る。佐田をめぐる岡田と桑野の心理の綾が絡み合う文芸メロドラマ。

S36('61)／松竹大船／白黒／シネスコ／1時間23分

■監督：野村芳太郎■原作：佐野洋『ひとり芝居』■脚本：野村芳太郎、山田洋次■撮影：川又�ｴ■音楽：池田正義■美術：宇野耕司■出演：桑野みゆき、川津祐介、佐野周二、藤間紫、鳳八千代、加藤嘉、三井弘次、高橋とよ

喜劇に定評のある野村芳太郎の滑稽洒脱なセンスが光る恋愛コメディの傑作。恋人に結婚を急かされた男は、その資金稼ぎに不倫カップルへの恐喝を企てるが…。桑野と川津のコンビは喜劇での相性も抜群。