神保町シアター

アメリカ／1957(S32)／モノクロ／シネスコ／2時間10分

■監督：ビリー・ワイルダー■脚本：ビリー・ワイルダー、I・A・L・ダイヤモンド■撮影：ウィリアム・C・メラー■音楽：フランツ・ワックスマン■出演：オードリー・ヘップバーン、ゲイリー・クーパー、モーリス・シュヴァリエ

ワイルダー、ダイヤモンド（脚本）の黄金コンビによるロマンティック・コメディの最高作。リッツホテルやオペラ座などパリの風情を感じさせる背景にオードリーの魅力が輝く。

アメリカ／1963(S38)／カラー／シネスコ／2時間53分

■監督：ジョン・スタージェス■原作：ポール・ブリックヒル■脚本：ジェームズ・クラベル、W・R・バーネット■撮影：ダニエル・L・ファップ■音楽：エルマー・バーンスタイン■出演：スティーヴ・マックィーン、ジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー、ジェームズ・コバーン

第二次大戦中、ドイツ捕虜収容所から脱走する連合軍捕虜たち。マックィーン、ブロンソン、コバーンなどクセの強い俳優たちの個性が活かされ、スリルとユーモアの展開は3時間弱の長尺を一気に見せる。

アメリカ／1954(S29)／カラー／ヨーロッパ･ヴィスタ／1時間55分

■監督：アルフレッド・ヒッチコック■原作：コーネル・ウールリッチ■脚本：ジョン・マイケル・ヘイズ■撮影：ロバート・バークス■音楽：フランツ・ワックスマン■出演：ジェームズ・スチュワート、グレース・ケリー、セルマ・リッター、レイモンド・バー

ヒッチコック映画の魅力はサスペンスとユーモアと美女の3点がセットになっていることだ。『裏窓』はその成功例であり、ケリーの美しさ、セルマ・リッターのコメディ演技が作品を支えている。

イギリス／1949(S24)／モノクロ／スタンダード／1時間45分

■監督：キャロル・リード■原作・脚本：グレアム・グリーン■撮影：ロバート・クラスカ―■音楽：アントン・カラス■出演：ジョゼフ・コットン、オーソン・ウェルズ、アリダ・ヴァリ、トレヴァー・ハワード、バーナード・リー

映画の中で"黒"という色が描かれた最高傑作。初公開時の秘田余四郎の字幕翻訳でこの作品を見た、当時高校生の戸田奈津子さんは、翻訳の妙技を知った。それが「今夜の酒は荒れそうだ」という訳である。

アメリカ／1952(S27)／カラー／スタンダード／1時間43分

■監督：ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン■脚本：アドルフ・グリーン、ベティ・コムデン■撮影：ハロルド・ロッソン■音楽：レニー・レイトン■出演：ジーン・ケリー、ドナルド・オコナー、デビー・レイノルズ、ジーン・ヘイゲン、リタ・モレノ、シド・チャリシー

映画がサイレントからトーキーになるとき、人気俳優の吹替えだった新人レイノルズが表舞台へ。J・ケリー、D・レイノルズ、D・オコナーの素晴らしいダンスと歌はMGMミュージカルの最高傑作だ。

アメリカ／1977(S52)／カラー／ヴィスタ／1時間58分

■監督：フレッド･ジンネマン■原作：リリアン・ヘルマン■脚色：アルヴィン・サージェント■撮影：ダグラス・スローカム■音楽：ジョルジュ・ドルリュー■出演：ジェーン･フォンダ、ヴァネッサ・レッドブレーブ、ジェイソン・ロバーズ、メリル・ストリープ

1976年に撮影されたこの作品は、反戦女優J・フォンダ、女性活動家V・レッドブレーブに演じられたことが、二人の登場人物、L・ヘルマンと親友のジュリアと重なるが、そんな裏話を超えて傑作である。

イタリア／1956(S31)／モノクロ／スタンダード／1時間56分

■監督：ピエトロ・ジェルミ■脚本：ピエトロ・ジェルミ、アルフレード・ジャンネティ、ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ■撮影：レオニーダ・バルボーニ■音楽：カルロ・ルスティケリ■出演：ピエトロ・ジェルミ、ルイザ・デラ・ノーチェ、エドアルド・ネヴォラ、シルヴァ・コシナ

急行列車の運転士である父親は少年の誇りだ。しかし、父親は組合活動と仕事の板挟み、長男は不良仲間に脅され、母親はそんな家族を黙々と受け止める。かつての日本映画を見ているような懐かしさがこみ上げる。

アメリカ／1940(S15)／モノクロ／スタンダード／2時間6分

■監督・脚本：チャールズ・チャップリン■撮影：カール・ストラス、ロリー・トザロー■音楽：メレディス・ウィルソン■出演：チャールズ・チャップリン、ポーレット・ゴダード、ジャック・オーキー、チェスター・コンクリン

この作品は第二次大戦が勃発した2週間後に撮影が開始された。戦況の行方も分からない中で製作されながら、完成した作品は見事にその後の時代を予言し、ラストの演説は現在でも強い説得力を持っている。

アメリカ／1957(S32)／モノクロ／ヨーロッパ･ヴィスタ／1時間36分

■監督：シドニー・ルメット■脚本：レジナルド・ローズ■撮影：ボリス・カウフマン■音楽：ケニヨン・ホプキンス■出演：ヘンリー・フォンダ、リー・J・コッブ、E・G・マーシャル、エド・ベグリー、ジャック・ウォーデン、マーティン・バルサム

父親殺しの容疑者の少年の裁判で、陪審員の評決は1対11で有罪だった。この評決は上映時間と同じ1時間36分の間に、次第に変わっていく。言葉の力によって正義が達成されることに勇気づけられる。

アメリカ／1959(S34)／モノクロ／ヴィスタ／2時間2分

■監督：ビリー・ワイルダー■脚本：ビリー・ワイルダー、I・A・L・ダイヤモンド■撮影：チャールズ・ラング・Jr.■音楽：アドルフ・ドイッチ■出演：マリリン・モンロー、ジャック・レモン、トニー・カーティス、ジョージ・ラフト、ジョー・Ｅ・ブラウン

マリリン・モンローは、この作品がモノクロ撮影と聞いて不機嫌になって共演者を困らせ、『七年目の浮気』同様、連日の遅刻でワイルダーを悩ませた。しかし、完成作品が傑作に仕上がったのは映画のマジックか。

アメリカ／1960(S35)／モノクロ／シネスコ／2時間5分

■監督：ビリー・ワイルダー■脚本：ビリー・ワイルダー、I・A・L・ダイヤモンド■撮影：ジョセフ・ラシェル■音楽：アドルフ・ドイッチ■出演：ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、フレッド・マクマレイ、レイ・ウォルストン

ロマンティック・コメディでありながら、『サンセット大通り』に代表されるワイルダーのシリアスな人間描写がレモン扮する主人公に加味され、完璧な作品となった。鍵、コンパクトなど小道具の扱いも秀逸だ。

フランス＝イタリア／1973(S48)／カラー／ヨーロッパ･ヴィスタ／1時間56分

■監督：フランソワ・トリュフォー■脚本：フランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマン、ジャン＝ルイ・リシャール■撮影：ピエール＝ウィリアム・グレン■音楽：ジョルジュ・ドルリュー■出演：ジャクリーン・ビセット、ジャン＝ピエール・レオ、ナタリー・バイ、ヴァレンチナ・コルテーゼ、フランソワ・トリュフォー

数多くある映画撮影を題材にした映画の最高傑作。映画の中で、トリュフォーが監督を演じることで、映画と現実が交錯する。「アメリカの夜」はレンズに赤いフィルターを付け、昼の撮影シーンを夜景に見せる手法だ。

アメリカ／1969(S44)／カラー／シネスコ／2時間25分

■監督：サム・ペキンパー■脚本：サム・ペキンパー、ウォロン・グリーン■撮影：ルシアン・バラード■音楽：ジェリー・フィールディング■出演：ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ウォーレン・オーツ、ロバート・ライアン、エドモンド・オブライエン、ベン・ジョンソン

チャップリンが短編コメディを撮っている1913年、未だに列車強盗を続ける時代遅れの男たちの物語。西部劇のヒーロー像を変え、時代に取り残され、暴力という宿命に生きる男たちを描いたペキンパーの傑作。

アメリカ／1994(H6)／カラー／ヴィスタ／2時間23分

■監督・脚本：フランク・ダラボン■原作：スティーブン・キング■撮影：ロジャー・ディーキンズ■音楽：トーマス・ニューマン■出演：ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ボブ・ガントン、ウィリアム・サドラー、ジェームズ・ホイットモア

長い刑務所生活の中で希望を失わなかった男の物語。アカデミー7部門でノミネートを受けながら全敗、日本での劇場公開でも振るわなかったが、口コミで評判が広がり、ビデオ・レンタルでは常にトップの伝説の作品。

アメリカ／1969(S44)／カラー／シネスコ／1時間51分

■監督：ジョージ・ロイ・ヒル■脚本：ウィリアム・ゴールドマン■撮影：コンラッド・Ｌ・ホール■音楽：バート・バカラック■出演：ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス、テッド・キャシディ、ストロザー・マーティン

『ワイルドバンチ』同様、20世紀に入ってからも強盗を続ける主人公。しかし、ジョージ・ロイ・ヒルの描く彼らは時代に取り残された男たちというより、郷愁を感じさせ、シックでユーモラスだ。

アメリカ／1971(S46)／カラー／スタンダード／1時間30分

■監督：スティーヴン・スピルバーグ■原作・脚本：リチャード・マシスン■撮影：ジャック・A・マータ■音楽：ビリー・ゴールデンバーグ■出演：デニス・ウィーヴァー、ジャクリーヌ・スコット、エディ・ファイアストーン、ルー・フリッゼル

まったく無名だったスピルバーグのテレビ用映画デビュー作。迷惑運転のトラックを挑発したことから追われるドライバーの恐怖は、低予算のハンデを乗り越え極上のサスペンスを生み、海外では劇場公開された。