神保町シアター

S37('62)／松竹大船／白黒／1時間24分

■監督：酒井欣也■脚本：松木ひろし、山根優一郎■撮影：小原治夫■音楽：牧野由多可■美術：芳野尹孝■出演：渥美清、倍賞千恵子、松原緑郎、田中春男、三木のり平、清川虹子、桂小金治

銀座を舞台に、人情派スリ・善六(渥美)と女子大生・マリ子(倍賞)が繰り広げる騒動を描いた痛快喜劇。テレビ界の人気者・渥美清が松竹と契約し、本作で映画初主演。のちに国民的兄妹となる渥美・倍賞の初々しい顔合わせが嬉しい！

S39('64)／松竹大船／カラー／1時間34分

■監督：野村芳太郎■原作：棟田博■脚本：野村芳太郎、多賀祥介、山田洋次■撮影：川又�ｴ■音楽：芥川也寸志■美術：宇野耕司■出演：渥美清、久我美子、藤山寛美、勝呂誉、小沢昭一、南田洋子、宮城まり子

『拝啓天皇陛下様』の続編だが全く別の話。軍隊はどんな人間も平等だと信じて勇躍入隊した天涯孤独の男(渥美)は、献納犬の飼育係となるが…。不遇の人生をものともせず、思い込んだらまっしぐらの主人公は、まさに渥美のハマり役。

S41('66)／松竹大船／カラー／1時間46分

■監督：五所平之助■原作：吉田とら■脚本：堀江英雄■撮影：長岡博之■音楽：斎藤一郎■美術：浜田辰雄■出演：左幸子、渥美清、倍賞千恵子、竹脇無我、香山美子、田村正和、久我美子

大正後期に伊豆の農家に若くして嫁いだ女性とその家族の姿を、実話を基に描く。夫の出征中も家業と子育てに励み、一家を守り抜いた逞しい母を左が熱演。渥美は、誠実で仕事熱心な家長役で、子だくさんの愛情深い父を印象的に演じた。

S42('67)／東宝＝宝塚映画／白黒／1時間25分

■監督：丸山誠治■脚本：木下恵介■撮影：梁井潤■音楽：木下忠司■美術：松山崇■出演：渥美清、淡路恵子、星由里子、石立鉄男、大辻伺郎、浜村純、若月輝夫

日雇い労働者の義太郎(渥美)は、馴染みの屋台で出会った苦学生に生き別れた息子の面影を見て、一世一代の勝負に出る――。戦争に翻弄された男の生き様を描いた人情ドラマで、渥美ならではのユーモアも温かい感動篇。

S37('62)／松竹京都／カラー／1時間22分

■監督：市村泰一■脚本：花登筐■撮影：倉持友一■音楽：小川寛興■美術：川村鬼世志■出演：伴淳三郎、大村崑、曽我廻家五郎八、曽我廻家明蝶、花菱アチャコ、森繁久彌、渥美清

上方喜劇やテレビ界で活躍したスター脚本家・花登筺のシナリオを、関西喜劇人協会製作で映画化した爆笑篇。同時代に活躍した喜劇人たちが総出演した東西お笑い対決！渥美の出番は少ないが、珍しい顔合わせを楽しんで！

S39('64)／松竹大船／カラー／1時間29分

■監督・脚本・音楽：野村芳太郎■撮影：川又�ｴ■美術：宇野耕司■出演：渥美清、山本圭、横山道代、宮城まり子、壺井文子、長門裕之

野村監督・渥美主演「拝啓」コンビの第三弾。売れない芸人・角丸(渥美)は、かつての相方で今は夫婦漫才の大スター・ムーラン(長門)に感化され再起をかけるが――。浅草芸人だった渥美が関西芸人役に挑んだ賛否必至の異色コメディ。

S42('67)／東映東京／カラー／1時間31分

■監督：瀬川昌治■脚本：舟橋和郎■撮影：飯村雅彦■音楽：木下忠司■美術：北川弘■出演：渥美清、西村晃、佐久間良子、小沢昭一、楠トシエ、大原麗子、三原葉子

喜劇路線を模索した東映が渥美を主演に迎えて製作した「列車シリーズ」第一作。妻子持ちで鉄道オタクの車掌・吾一(渥美)は、寝台列車で初恋の女性(佐久間)と再会し…。喜劇の名手・瀬川の演出も冴えわたる爆笑旅情篇。

S50('75)／松竹大船／カラー／1時間32分

■監督・脚本：宮崎晃■撮影：川又�ｴ■音楽：佐藤勝■美術：森田郷平■出演：渥美清、中村勘九郎(五代目)、松坂慶子、有島一郎、米倉斉加年、加藤嘉、笠智衆

年上のOL・紀子(松坂)と同棲中の学生・宏(中村)は、生活のために工事現場で働き始め、ベテラン労働者・源太郎(渥美)と心を通わす――。山田洋次作品の助監督や共同脚本を数多く手掛けた宮崎晃がメガホンを取った男の友情もの。

S39('64)／東映東京／白黒／1時間28分

■監督：佐藤肇■原作：樹下太郎■脚色：松木ひろし、藤田伝■撮影：西川庄衛■音楽：菊池俊輔■美術：進藤誠吾■出演：西村晃、渥美清、春川ますみ、金子信雄、曽我廼家明蝶、宮園純子、浜村純

豊満な肉体で男達を手玉に取る妻(春川)の情夫たちを強請ろうと、タクシー運転手の麻見(西村)は奇妙な罠を企てるが…。渥美扮する運転手が乗った霊柩車が、五輪前夜の混乱した東京を駆け巡る異色のスリラーコメディ。

S39('64)／宝塚映画／カラー／1時間33分

■監督：久松静児■脚本：沢村勉、山根優一郎■撮影：梁井潤■音楽：広瀬健次郎■美術：加藤雅俊■出演：渥美清、浜美枝、有島一郎、笠智衆、団令子、加東大介、浪花千栄子、清川虹子

人一倍正義感が強い田舎者の青年(渥美)が、柔道の腕前を見込まれて要人のボディーガードになり、あれよあれよと出世街道をひた走る！渥美が東宝きってのおきゃんな二人、団令子・浜美枝とラブコメを繰り広げる姿は、もはや激レア？

S43('68)／松竹大船／カラー／1時間31分

■監督：渡辺祐介■脚本：田坂啓■撮影：荒野諒一■音楽：八木正生■美術：佐藤公信■出演：渥美清、西村晃、大坂志郎、小沢昭一、テリー・エンジェル、伴淳三郎

グラマーな金髪娘と四人のヒモ男たちの一座は、違法なストリップのドサ回りでボロ儲けをしていたが、警察やヤクザに追い回され解散の危機に――。一座のリーダーを演じた渥美と、西村、小沢、伴淳ら曲者役者とのドタバタは見応え十分。

S47('72)／渥美プロ＝松竹／カラー／1時間43分

■監督：今井正■原作：有馬頼義■脚本：鈴木尚之■撮影：堂脇博■音楽：小室等■美術：森田郷平■出演：渥美清、森次浩司、倍賞千恵子、田中邦衛、市原悦子、香山美子

戦友たちの遺書を抱いて帰還した分隊唯一の生き残り・民次(渥美)は、戦友たちの遺族を訪ねて全国を旅することに――。原作を読んだ渥美が映画化を熱望し企画・製作。鈴木の重厚な脚本と社会派・今井の確かな演出が胸を打つ感動篇。

S41('66)／東映京都／カラー／1時間30分

■監督：加藤泰■脚本：掛札昌裕、鈴木尚之■撮影：古谷伸■音楽：斎藤一郎■美術：井川徳道■出演：中村錦之助、池内淳子、中村信二郎、東千代之介、阿部九州男、渥美清

気ままな旅の道連れだった朝吉(渥美)を予期せず亡くした渡世人・時次郎(錦之助)は、傷心の道中で、渡世の義理で切った男の女房(池内)と息子に遭う…。ヤクザ稼業の愚かさに苦悶する男の姿を描いた股旅映画の最高傑作。

S43('68)／松竹大船／カラー／1時間39分

■監督：野村芳太郎■原作：結城昌治■脚本：野村芳太郎、吉田剛■撮影：川又�ｴ■音楽：林光■美術：梅田千代夫■出演：渥美清、倍賞千恵子、藤岡琢也、有島一郎、生田悦子、田中邦衛、フランキー堺

天才スリ師・ワタ勝(渥美)は、一度は堅気となったが、失業をきっかけに現役復帰。筑豊の廃坑村を根城に、かつての仲間と全国で荒稼ぎを始めるが…。渥美は破天荒なスリ集団のリーダーを軽妙に演じ、恋女房役・倍賞との相性も抜群。

S45('70)／松竹大船／カラー／1時間30分

■監督：森崎東■原作：山田洋次■脚本：山田洋次、小林俊一、宮崎晃■撮影：高羽哲夫■音楽：山本直純■美術：佐藤公信■出演：渥美清、倍賞千恵子、河原崎建三、新珠三千代、香山美子、花沢徳衛

「寅さんじゃない」という特集趣旨ではありますが、やはり渥美清といえば寅さんでしょ！ということで、シリーズ49本中たった二本しかない「山田監督じゃない」第三作目を。舞台は三重県湯の山温泉、マドンナは新珠三千代。

S61('86)／松竹／カラー／2時間15分

■監督：山田洋次■脚本：井上ひさし、山田太一、朝間義隆、山田洋次■撮影：高羽哲夫■音楽：山本直純■美術：出川三男■出演：中井貴一、有森也実、渥美清、倍賞千恵子、すまけい、美保純、笠智衆

昭和初期、大船への移転を控えた松竹蒲田撮影所を舞台に、浅草の映画館の売り子からスター女優への階段を駆け上がる娘とその父との絆、そして映画に人生を捧げる活動屋たちの情熱を描いた感動巨篇。とにかく渥美に泣かされる。