- 〈 書籍の内容 〉
- 豊かな専門知識によって歌舞伎のその<歌>の部分を大きく受け持っている下座音楽が余すところなく解明されました。演奏家として半世紀にわたる経験を持つ著者が知識と情熱を傾けた成果です。これで歌舞伎の鑑賞は格段の楽しさと深さを加えるのは必定。演出・演技との関連からもこれまで何でもなく聞き流していた下座音楽の効果の大きさに驚かれることでしょう。研究にも欠かせない一冊。
まず<楽器>から説き始められます。そしてその種類、皮革・金属・木竹製品に分類した詳細な構成。三味線や笛や大太鼓などに就ては無論余すところなく、所作音楽と下座音楽に大別しての基本的な説明。<下座音楽>という項目は本書の最も精髄を示すもので、名称・構成・分類・曲名など一つ一つに例証をあげての記述は、続く<鳴物><唄入><合方>などと共にかぶきの聴覚的な興趣を存分に教えてくれます。終りの<附帳>の復刻はあの舞台下手に位置する黒みすの奥をのぞかせるのにも等しいものです。
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