【江上】 今回プロデュースされた『RAILWAYS』のお話に行く前に、まず『ALWAYS 三丁目の夕日』のお話をお訊きしたいんですよ。あれ、鉄道映画としてすばらしすぎます! その意味でも画期的な映画でした。
【阿部】 あ、わかってくれましたか。
【江上】 そりゃわかります! これは相当鉄道好きな人が作った映画なんだなと。
【阿部】 そう! 日本映画って、これまで鉄道の撮り方がなってなかったの。
【江上】 ですよね!
【阿部】 映画関係者には、車両に入っている「モハ」とか「サハ」とか書いてあるのを、フィーリングで書いているんじゃないかって人もいるぐらいで。
【江上】 それ最悪ですね。
【阿部】 それで、僕が映画を作る時は「それは違うよね?」から始まって。鉄道の撮り方が非常に軽んじられているんですよ。
【江上】 そうなんです。かなりお金をかけた映画でも、鉄道の場面が出てくると急に冷める。
【阿部】 冷める! 日本の映画の鉄道シーンで一番の問題といえば、蒸気機関車の撮影。撮ろうと思った時に今も常に動かしているところはそんなにないんですね。撮影が非常にしやすいところとなると、もう大井川鐵道しかないんですよ。
【江上】 そうですね。ただし架線の下を、ですが。
【阿部】 知ってますねぇ〜(笑)。架線の下、それもC11というですね、人を運ぶような蒸気機関車ではない、スイッチャー用のもうちっちゃい機関車なんですよ。
【江上】 必ずあそこが使われますよね。
【阿部】 『ALWAYS』を撮る時も自動的にそこで、となっちゃって。僕が「何撮るの?」と聞いたら、ラインプロデューサーが「六ちゃんが上野駅に着くシーンを撮ります」と。「おまえはバカか!」と言いました。
【江上】 わー。
【阿部】 「蒸気機関車にも格があるんだ」と。C11は嫌いじゃないけど、遠く青森から集団就職の列車を、C11が引っぱってくるわけがない! 社長のクルマを用意するのに軽自動車を持ってきてどーすんだ! 蒸気機関車にも格があるんです、と。「じゃあ、どうすればいいんですか」と聞くから、「どうすればいい、じゃなくて、C62じゃなきゃだめです!」と。
【江上】 すばらしい!
【阿部】 じゃあC62にしましょう、どこにあるかといえば・・・・・・
【江上】 動態保存してるのは梅小路ですか?
【阿部】 そう! 「梅小路で撮りゃいいじゃんか!」と。
【江上】 僕、あの列車が上野駅に入ってくるシーンはほんっとにびっくりしたんですけど、それまでの日本映画のように、てっきりいい加減な保存蒸機のどれかが現れるんだと思ってましたから。そしたら、入ってきた機関車がC62! それも22号機!
【阿部】 そうだよ。上野駅には22と23しか入ってないんだから。
【江上】 尾久機関区所属の22号機!川崎車輌のメーカーズプレートもそのまんま!
【阿部】 でも、梅小路に実際にあったのは22号機じゃなくて2号機ですから。
【江上】 あれ、日立製の2号機ですよね! それをわざわざ川崎車輌製の22号機に化けさせて!
【阿部】 22号機のナンバープレートを貼って。しかも、2号機のシンボルでもあるスワローエンゼルを消していますから。
【江上】 消しているんですね、いやぁ〜、すごかったです。ROBOT制作と言うこともあって、すべてCGなのかとも思ったし。どうやって撮ったか全然わかんなかったですもん。
【阿部】 あそこは完璧に。「これ、見る人は絶対に見るから。見る人が見たら感激するに違いない」と。それでね、最後に一か所だけシャレで、「ニセコ」を牽いていたときの副灯だけ残したの。あれは本当は単灯なんだけどね。いや〜、がんばったね、俺も(笑)。
【江上】 あの場面は阿部さんが現場指揮、集中演出みたいな感じだったんですか?
【阿部】 いや演出したのはもちろん監督の山崎(貴)くんなんだけど。美術担当かな(笑)。上野駅も相当こだわったからね。
【江上】 上・野・駅!! すごかったですね〜。
【阿部】 看板ね。何時発のどこ行きの列車が何番線から発車するという看板が昔はあった。
【江上】 完全に再現してましたね。ちょっと感動しました。 |