STORY
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森雪之丞

日曜日の天使は退屈
だって誰もボクを必要としないんだもの
特に三月はね

バレンタインデーまでは大忙し
月曜日に求愛の弓を磨き
火曜日は腕立伏せで筋力アップ
水曜には街中の図書館を回って
すべての本から『絶望』という言葉を消した
さて下準備が整ったら
木曜に片想い真っ最中の彼女を見つけ
金曜日は探偵気取りで彼氏の身辺調査
無愛想だけど悪い奴じゃなかったから
土曜日の朝恋の矢を放った
もちろん見事命中!
そして果たして要するに
日曜日の天使は退屈

ブロンドの枝毛を切りながら
何もない月曜日の予定を考える
そうだ! 天気が良かったら
春の萌しをあちこち探して過ごそう
濡れた枯葉の下に息づく小さな新芽や
寒空のガウンを脱いだ太陽
キーが半音上がったツグミの歌や
そして果たして要するに
気になるあの二人のファースト・キスもね








森雪之丞

あぁ気にしないで
ヒマだったからさ
ヒマだと色んなこと考えちゃうんだよね
存在…理由…みたいなこと
だって誰もボクを必要としないんだもの
だから気にしないで
黒いタイツ穿いてシッポ生えてても

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