編集・出版社営業・書店員・翻訳者が[ロボット・イン・ザ・ガーデン]を語ってみた。
6/12(月)公開の後編はこちらから!
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あざといくらいに可愛いレトロロボットと
ドラえもん抜きののび太。
やぁ皆さん揃いましたね。今回はイギリス生まれのめちゃくちゃキュートな小説、デボラ・インストール著/松原葉子訳『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(小学館文庫)の魅力を語り合おうという企画です。まずは、軽く自己紹介を。
杉江由次、45歳。ほとんど一日中本屋さんの訪問と移動を繰り返している出版社の営業をしています。二児の父親です。
皆川裕子です。小学館の文芸編集部にいます。偶然にも杉江さんと同郷で学年はひとつ上。一児の母です。
で、司会進行役が私、丸善津田沼店の沢田史郎・47歳です。宜しくお願い致します。
松原さんは少し遅れるそうです。
じゃあ、先に始めてましょうか。
まずは未読の方向けに、この小説がどんな話なのか、ザックリと説明した方がいいかも知れませんね。
小学館のHPによると《 ある朝、ベンは自宅の庭で壊れかけのロボットのタングを見つける。「四角い胴体に四角い頭」という、あまりにもレトロな風体のタング。けれど巷に溢れるアンドロイドにはない「何か」をタングに感じたベンは、彼を直してやるため、作り主を探そうとアメリカに向かう。そこから、中年ダメ男と時代遅れのロボットの珍道中が始まった…… 》ということですが、この物語の魅力って、ずばり何でしょう?
子育て親育てとか、夫婦について考えさせられるとか、AIと人間の共存とか、言い出せばたくさんありますが、一言で言うならやはりロボット・タングの可愛さでしょう!
そうですね、タングに尽きます。『ロボット・イン・ザ・ガーデン』は近未来の話で、世の中にはカッコ良くて役に立つ家庭用ロボットがたくさん普及しているのに、タングは手がマジックハンドだし、すっかり時代遅れのロボットなんですよね。僕らの世代で言ったら「がんばれ!! ロボコン」みたいな。このタングのキャラクターがたまんないんですよ。
担当編集者が言うのもなんですが、あざといくらい可愛い(笑)。
タングの魅力は勿論なんですけど、僕の場合、まだタングのキャラがはっきり分からないかなり序盤の段階で物語に惹き込まれてしまって、あの引力は一体どこから来るんだろう? と、考えているところです。
なんですかねー。ベンのダメぶりが際立っていることもありますかね。
ベン、ダメ男ですよねえ。働かないで家にいるから家事をするかと思ったら、ゴミ出しを二週間に一度しかしてなくて、その間ゴミがたまらないのは奥さんが捨てているからなのにそれにすら気づいていない。まあ自分も親の財産があったらああなっちゃうかもと思うけど。
Twitterで目にした一般読者の感想なんですけど、部屋でひとり椅子に座ってクルクル回ってる30男って、確かに女性は引きますよね。
そうなんですか?
僕に訊かないで下さい(笑)。
ただ、ダメ男だけど、ダメじゃない人には気づけないことに気づく好奇心とか優しさとかは、子ども心を持ち続ける男性には共感されるのかもしれませんね。
子ども心! それだ! 序盤に於けるベンのタングへの興味の示し方って、プラモデルとかラジコンに心奪われる男の子と一緒だ。
私の中ではベンは完全に『のび太の恐竜』ののび太なんですよね。まあ、34にもなってのび太なところはイタイけど、よく考えると結構大人でもこんなもんかな、と。
ダメな男ぶりだけじゃなく、得体の知れないもん拾ってそれに感情移入して、遂には生れ故郷まで連れて行こうとするんだから、確かに『のび太の恐竜』だ。
ドラえもんがいないのがツライとこですね(笑)。
ドラえもん抜きののび太。そりゃダメだわ(笑)。
だからこの本、一面ではダメ男の成長小説なんですね。
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