私は夜行をこう読んだ! 皆さまの声 森見登美彦氏が特に唸ったベスト10公開中!
受賞作タイトル

某月某日、夜行氏(単行本)は夜行氏(連載版)と某喫茶の窓際の席で向かい合っていた。以下は二人のやり取りである。

連「ふむ。私とは随分変わった様子だな」単「まあ、色々書き直した部分がありますし」連「というか書き直しの方が多くないか。ずるい」単「一冊の本になるにあたってわかりやすいように一本の軸を入れたのもあります」連「却って謎を増やした気もするが」単「それもまた計算です。たとえば貴方には話の一つ一つに独立した恐怖がありますが、私はそれに加え物語全体を覆う謎が幾つも存在します。その解釈をあえて読者に任せることで、私の読みは深く広くなるの」連「それは詭弁じゃないのか」単「詭弁で結構!」

連「というかこれ、ぐるぐる問答のパクリでは」単「物騒なこと言わないで。これはパロディです」連「どう違うんだ」単「それを説明するには四畳半的宇宙規模の詭弁を要します」連「なら結構」単「四畳半の話になってきたからそろそろお開きにしましょう。私達は四畳半とは系統が違うし、字数の都合もあります」

そう夜行氏(単行本)が促すと、夜行氏(連載版)は素直に席を立ち、出口へと向かった。それを見送って珈琲を一口啜った夜行氏(単行本)は、やや緊張した面持ちで窓外を眺めながら、次なる対談相手がやってくるのを待った。「今更ですが、こんな文で応募してもよいものでしょうか?」やがてカランと音を立てて扉が開き、夜行氏(文庫本)が姿を見せた。

 これはさすがに反則です。しかしながら、『ぐるぐる問答』を踏襲したり、単行本版と連載版の違いに触れておられたりして、なんとなく無下にできません。それもまたズルいところ!
 というわけで「番外」ということでお許しください。

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