『いま、会いにゆきます』『恋愛寫眞 もうひとつの物語』『そのときは彼によろしく』 『こんなにも優しい、世界の終わりかた』など、次々と大ベストセラーを生み出す人気作家、 市川拓司さん。その創作の秘密はどこにあるのか? 最新作『MM』はどうやって生まれたのか? 市川作品の大ファンだという女優・樋口柚子さんがせまります!

『MM』は自分が思い描く
ハリウッド的ロマコメの完成形!

樋口柚子(以下樋口) はじめまして。市川さんの作品の大ファンなのでお会いできて光栄です。待ちに待った新作『MM』も読ませていただきました。すでに3回! 今回も優しさにあふれた癒しの世界観でした。いつもの作品よりはリアルな現実に近かった気がするのですが・・・?

市川拓司(以下市川) 『MM』を書こうと思った大きな動機は映画「ペーパータウン」のカーラ・デルヴィーニュ。この作品のカーラがかっこよくて、彼女のような女性を書きたかったんです。カーラはいま世界一稼ぐモデルで、映画「アンナ・カレーニナ」から女優業にも進出しています。

樋口 モモちゃんがカーラ・デルヴィーニュ?

市川 そう! でも、実際には2000年くらいの設定にしたので、そのころの時代でカーラ・デルヴィーニュ的な存在は誰かな、と考えて、ブルック・シールズをモデルにしました。

樋口 『MM』には海外の役者さんの名前や映画のタイトルがたくさん出てきます。その知識の幅広さに驚くんですが、普段どれくらい観ているんですか?

市川 映画は趣味というかもう生活の一部になっていて、ほぼ毎日観ています。ジャンルはラブコメやロマンスコメディが好きです。当時のラブコメの女王、メグ・ライアンが出演している「恋におぼれて」は傑作! じつを言うと『MM』は自分が思い描くハリウッド的ロマンスコメディの完成形にしたかったんです。書いている途中、いつものクセで、ついついファンタジックな世界に入っていきそうになることもあったんですが、今回は踏みとどまりました(笑)。

樋口 廃墟となった遊園地のWデートのシーン、ロマンティックでした。

市川 ぼくも大好き! あんなデートを15歳のときにしたら、人生変わるだろうな。 あそこは自分で言うのもなんですが、よく書けましたね。

樋口 あのシーンにも登場する飛男がすごく好きです。

市川 あれはぼくの中のはっちゃけた部分。「こんなにも優しい、世界の終わりかた」でいうと瑞木。あのキャラクターが出てくると、書いていてすごく楽しいし、脇役だけどすごくいとおしい。

樋口 いま女優の仕事をしていて、自分とかけ離れた役を演じる難しさに直面しています。どうしても自分の想像がおよばないんです。市川さんは小説で自分とまったくかけ離れた人物を描くことはありますか?

市川 ほとんどのキャラクターは自分の中に何面かある顔の一部。女性のキャラクターも書きやすいです。あれも自分の一部だから。よく「14歳の女子がおっさんになった」と言っています(笑)。『MM』のJGは自分にない部分ですね。あれは普段、映画を観ているストックの中から出てきたキャラクター。いじわる要素が自分にはないので、そういうキャラクターを書くときはモタモタします。得手不得手はあってあたり前。割り切ってやればいいと思います。誰でもそうだけど、顔を見れば内面がわかる。その人の積み重ねていた人生そのものだから。それとまったく違う役をやるのは難しいんじゃないでしょうか。ムリしてこの役をやっているんだろうな、っていうのは、観客にも伝わりますから。

樋口 ありがとうございます。私もこれからたくさん映画を観てストックを増やしていきたいです。市川さんの作品に登場する映画もこれから一作品ずつ追っていきます!

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  • 本書をためし読み
  • あらすじ中学3年生のぼくは、夏休みのある日、駅前通りの本屋で「ハリウッドで脚本家になるための近道マップ」という600ページもある翻訳本を立ち読みしていた。
    本に没頭していると急に肩を叩かれ、ぼくは飛び上がった。恐る恐る振り返ると、そこには彼女がいた。
    南川桃(モモ)。同じクラスにいたけど、一度も口をきいたことがない女の子。
    女子のヒエラルキーでも頂点にいるのが当たり前のようなその子が、そのあとぼくに頼んできたのは、伝記を書くことだった。
    「伝記? だれの?」
    「わたしの」と彼女は言った。
    ぼくと彼女のあいだには、グランドキャニオン級の深い溝が広がっている。それを越えることはとてつもなく難しい。
    それでもぼくは、モモとの約束を果たすため、そしてこの「仕事」を完遂するため、ひっそりと、彼女へのインタビューを続けた。
    著者渾身の作品! これ以上ない青春物語!この愛が、どうか世界中の人々の心へ届きますように。
    いま、社会が抱えるさまざまな問題にも通じる、愛と平和を願うメッセージがこめられています。
    大ベストセラー作家によるまったく新しい「ぼくときみの物語」がいつか、世界を変えてくれるかもしれません。

  • 市川拓司(いちかわ・たくじ)
    1962年、東京都生まれ。2002年『Separation』でデビュー。03年刊行の『いま、会いにゆきます』はミリオンセラーとなる。他の作品に『そのときは彼によろしく』『恋愛寫眞 もうひとつの物語』『こんなにも優しい、世界の終わりかた』などがある。

  • 樋口柚子(ひぐち・ゆず)
    1996年、東京都生まれ。2011年日韓アートフェスティバルで上演された映画『愛のしるし』(2011年)で映画初出演、初主演を務め、女優としての活動を開始。ドラマ『ヒガンバナ~警視庁捜査七課~』(日本テレビ/2016年)、『咲-Saki- 特別編』(TBS/2016年)、映画『咲-Saki-』(2017年)に出演。明治『チョコレート効果』、パーソルキャリア、アルバイトニュース『an』などの広告のほか、ORANGE POST REASON 『風しるべ』(2016年)のMVなどに出演。9月22日より全国公開の映画『あさひなぐ』に寒河江純役で出演している。