篠山紀信が「ラブドール」に命の火を灯す。

下着姿で、裸で、ページをめくった先に

たたずむのは確かに女性だ。

その表情はどこか無機質にもみえるが、

一枚一枚、意思のようなものを感じる。

ここに映るのは生気のない人間？

それとも人間に似せたドール？

答えは・・・そのどちらも存在する。

「LOVE DOLL×SHINOYAMA KISHIN 」© Kishin Shinoyama

鬼才・篠山紀信の魂を突き動かしたのは「ラブドール」。

人間のグラビア作品と同じように、各地でロケを敢行し、今回の写真集が誕生した。

工場の製造過程からはじまり、篠山氏と対峙することで、

"命"の火が灯され、愛を覚え、そして・・・。

「LOVE DOLL×SHINOYAMA KISHIN 」© Kishin Shinoyama

「ラブドール」とは、かつてダッチ・ワイフと称され、

男性の愛玩用として誕生したもの。

オリエント工業が造形する最新の「ラブドール」は日本において、

世界最高水準の技術、芸術性をもって独自の進化をとげた。

東京藝術大学大学院を修了したスタッフらが手がける"作品"は極めて高く評価されている。

レディガガが自分に模したラブドールをミュージックビデオに出演させ、

写真家・杉本博司が展覧会に出品し、是枝裕和監督が映画の主題として取り上げ、

弘兼憲史がマンガに描き、作家・高橋源一郎、桜木紫乃、都築響一、みうらじゅんらが絶賛、

言及するラブドールの世界。

『LOVE DOLL ✕ SHINOYAMA KISHIN』の監修者であり、

「ラブドール」に関して造詣の深い美術史家の山下裕二は、

本書に収載された解説の中で日本における「造形」と「ラブドール」の

美術史的意義を詳述している。

‹‹篠山紀信が撮るラブドールは、この写真集で、

まさに生身の女性と見まがうほどの画像として読者に提示される。

多くの読者は、「工業製品」が「アート作品」を凌駕するほどの

クオリティーを獲得していることに驚嘆されるに違いない。〉

これは間違いなく「アート作品」であり、圧倒的な"造形美"を放ち、

そして、観るものの"肉体的愛"、"性的愛"を刺激する。

人工知能を搭載したラブドールが誕生するといわれている近未来。

夢とうつつ、ドールと人間、生と死・・・「人間の現在」を問う問題作降臨！

装幀はY.M.O.などのアートワークで知られる奥村靫正。

想像を絶する体験を写真集でご堪能あれ。  

▲これが本書にも登場する実際の「ラブドール」。

触れていると不思議な感情が芽生えだす・・・。

『LOVE DOLL×SHINOYAMA KISHIN』　著／篠山紀信

【著者プロフィール】

篠山紀信(しのやま・きしん)

1940年、東京都生まれ。写真家。

日本大学芸術学部写真学科在学中より頭角を現し、広告制作会社「ライトパブリシティ」で活躍。

1961年に日本広告写真家協会展公募部門APA賞を受賞、1968年からフリーに。

三島由紀夫、山口百恵、宮沢りえ、ジョン・レノンとオノ・ヨーコなど、その時代を代表する人物を捉え、

流行語にもなった「激写」、複数のカメラを結合し一斉にシャッターを切る「シノラマ」など

新しい表現方法と新技術で、時代を撮り続けている。

2002年より、デジタルカメラで撮影した静止画と映像を組み合わせる「digi+KISHIN」を展開。

ウェブサイト「シノヤマネット」でも、映像作品、静止画、DVD作品など多数発表している。

2012年、熊本市現代美術館を皮切りに始まった「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN」は

全国を巡回中、80万人以上を動員している。

2016年には、東京・原美術館で「篠山紀信展 快楽の館」を開催した。

現在、箱根彫刻の森美術館 にて「KISHIN meets ART」を開催中(2017年6月25日まで)！

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