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2017.4.28

医者であり僧侶の著書が語る、人を最期に救うのは、医学か? 宗教か? 『いのちの苦しみは消える』

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医者であり僧侶の著書が語る、人を最期に救うのは、医学か? 宗教か? 『いのちの苦しみは消える』

「私自身の体にもステージ4bのすい臓がんが発見されました。

 余命わずかであることを自覚しています」

 

いままで数々の末期がん患者を看取ってきた内科医であり、

僧侶でもある田中雅博氏は、自身も末期がんになり、余命数か月と自覚され、

2017年3月21日に逝去されました。

その彼が「いのちの苦しみ」との向き合い方を説く本書は、

長年ひとの死を間近で見てきたこと、

そして「自分の番」が来た実感が深く込められているため、

とても重く響いてきます。

 

「40年ほど前の話になりますが、私は医大を卒業したあと、

 東京にある国立がんセンター(現・国立がん研究センター)に

 研究所室長・病院内科医として勤めました。

 内科医である私が担当した患者さんは、ほぼ全員が進行がん。

 そんな患者さんから『私は治りますか?』と質問されたら、

 どう答えればいいのでしょう?

 多くの患者さんから、『私は死ぬのですか?』とも聞かれました。

 現代の医学ではどうにもならないことがあります。

 『いのちの苦』から人を救うことは医者にはできない、科学ではできないのです」

 

医学の限界を知った彼は、宗教こそが人が死と向きあったときに救いになると語ります。

宗教というのは仏教やキリスト教だけでなく、自分のいのちより大切なものを見つけたとき、

それがその人自身の宗教になるのです。

 

「いのちがなくなることに対する苦しみと直面する、

 その『いのちの苦』から救われるには、『自分への執着』を捨て、

 どんな人生であったとしても、そこに価値があったと考えて

  『自分の人生の物語』を完結させるしかない」

と、田中氏は言います。

 

人は「いつか死ぬ」と誰もが知っていますが、

急に「あとわずかないのち」であることを知ると、

「死にたくない」「死ぬのが怖い」という気持ちがわき起こってきます。

本書は人間であれば誰しも逃れることのできない

生と死の見つめ方の本質を教えてくれる一冊です。

 

「死について医師が説いた本はこれまでに数多あります。

 死について宗教者が説いた本もこれまでに数多あります。

 しかし、医師として、僧侶として、死を間近に見てきた者が、

 自らの死を前にして『いのちの苦しみ』について語り、

 医学や宗教のあり方を訴える。

 そのような本は、おそらくこれまでになかったことでしょう。

 田中氏は自分の考えを残そうと、体調が悪化するなか、

 この本作りに尽力してくださいました」(担当編集)

 

▶▶著者が本書について語った動画もご覧になれます。◀◀

 

『いのちの苦しみは消える 医師で僧侶で末期がんの私』 著/田中雅博

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