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2016.3.22

息をのむ精密さ、美しさ。空前絶後の名城復元画! 『日本名城画集成』

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息をのむ精密さ、美しさ。空前絶後の名城復元画! 『日本名城画集成』

 昭和30~40年代に、全国の古城を訪ね、綿密な考証と現地調査に基づく復元鳥瞰図を描いた画家がいた。荻原一青(おぎはら・いっせい〈1908~75〉)である。元は友禅画家だったが、23歳の時、故郷尼崎城の荒廃に心を傷めたのをきっかけに、城郭画を描くことを人生の目標とした。日雇い労働者となり、日銭がたまると全国の城めぐりの旅に赴き、各地の城郭風景を描き、その復元資料を求め、歩き回った。昭和33年、名古屋城と和歌山城、小田原城天守の復興建設が話題になると、城ブームという言葉が生まれた。同年9月、西宮市「どろんこ展」、同11月神戸市「労働者生活展」に城郭画を出品。後者では努力賞を受賞し、世間に荻原の城郭画が知られるようになる。その後も城郭画を描き続け、昭和50年7月、180点の城郭画を残して逝去。享年67歳だった。

 

 昭和43年、荻原の城郭画の成果を知った尼崎市の有志により『城郭画集成』出版世間人会が組織され、時の尼崎市長も加わり、作品集が出版された。しかし、尼崎城と10城の鳥瞰図のみのカラー印刷で、ほかの80城はモノクロ印刷であった。

 

 荻原は晩年、総カラー印刷の画集出版を望んでいたが、なかなか実現しなかった。願いがかなったのは荻原の死から3年後、小学館より一千部限定で『日本名城画集成』として刊行された。しかし刊行と同時に完売し、まぼろしの画集となった。

 

 本書は荻原の遺した精緻で美しい名城画、109城、180点を、日本を代表する城郭研究家の西ヶ谷恭弘氏の解説文と共にまとめた。まさに『日本名城画集成』の普及版といえる。

 

「本書は、約40年を経て、豪華画集に収録した全図を掲載した普及版です。城を愛する人に、じっくり見て頂きたい」(担当編集)

 

『日本名城画集成

知られざる城郭画家が描いた美しい復元鳥瞰図』

画/荻原一青  文/西ヶ谷恭弘

 

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