勝間和代『読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか』 定価:777円(税込) 小学館101新書 小学館101新書


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勝間和代の書店コラム

書店ぶらぶら歩き どんなに忙しくても書店めぐりは欠かさない勝間さん。今日もいきつけの書店にぶらりと立ち寄って、さてどんな本を選んだのでしょう。 ある日のぶらぶら歩き Vol.1 丸善 丸の内本店

2008年7月4日 撮影/深山徳幸

東京駅から徒歩数分の好立地にある、丸善丸の内本店。「勝間さんを店内でよくお見かけします」という一般書売場担当の田中大輔さんによると、「この間も、新幹線に乗車される前だったのでしょうか、ふらりと来店されました。ポップを書かれていくことも多いですね」。「前の会社がこのあたりでしたし、近くに友だちが何人も勤めているので、友人たちとのランチに来たついでに寄るんです」と、勝間さん。丸の内は勝間さんにとって、「ホームグラウンドのような場所」なのだそうだ。“書店ぶらぶら歩き”丸善丸の内本店編の軌跡は、以下のとおり。

「ここから始まったんですよね……」。そう感慨深げにつぶやいたのは、新刊や話題書が並ぶ、エスカレーター脇のイベントコーナー。丸の内本店は、1階のフロア全部がビジネス書売場で、その中でも最も人通りの多いこの場所に平積みされるということは、注目株の本であるということだ。『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』が平積みの仲間入りをしたのは、2007年4月のこと。それ以前から、来店すると、勝間さんが真っ先に立ち寄るコーナーでもあった。この日も、気になった本を手に取り、「何が書いてあるかパラパラ見て、自分の想定内のものなら戻します」。

イベントコーナー中ほどには、『ビジネス頭を創る7つのフレームワーク力』の発売に合わせ、勝間本専用ワゴンが出ていた。

ひととおり話題書をチェックしたあとは、「たいてい戻ります」。店内に入ってすぐ右手の、話題のビジネス書コーナーへ。『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)のオーディオブックが、書籍に混ざって並べられている。「丸の内本店さんの場合、オーディオブックの本拠地は4階なんです。それをここに置いたということは、テスト・マーケティングを兼ねていますね」と、分析。そばの柱には、印税寄付プログラム〈Chabo!〉のコーナーが展開。勝間さんによる手書きPOPも添えられている。

仕事術や整理術、ビジネス心理に関する本が並ぶコーナー。棚の上下にくまなく視線を配っていた勝間さん、手を伸ばしても届かない高所に気になる本を見つけたようだ。店員さんはどこ……と躊躇する間もなく、勝間さんは壁際に置かれた可動式ステップを押してきて、スタスタと上る。取りたかった本は、『物語力─ワートマンの「人の心を鷲掴みにするしごと術」』(クレイグ・ワートマン)に、『SQ生きかたの知能指数』(ダニエル・ゴールマン)。ステップに上ったまましばし見入る。「たぶん買っていると思いますが……。何万円もする高額な本でなければ、迷ったときは買うことにしています」  この日も手にする本は翻訳ものが多い。「統計的に、読んでよかったと思う本がたまたま洋書の翻訳書なので、つい翻訳書に手を伸ばしてしまうんです。でも、和書もちゃんと見ないと」。そこで見つけたのが、『発想法』(渡 部昇一)。「渡部昇一さんの本は、再現性が高いところが好きですね」。『論理の方法─社会科学のためのモデル』(小室直樹)を棚に見つけたときは、奥付を見て「初刷りですね。それなら、まだ買っていないと思います、買おう」。 このときのように、勝間さんは本をチェックする際に奥付を熟視することも多いのだが、刷り数の多さが購入の決め手になっているのだろうか。「その本が何刷であるかなどは、あまり見ていません。たいてい初刷りの段階で買っていますから」。初刷り、つまり発売間もない段階で良書を手にすることができるようになったら、書店ブラウジングも上級者レベルだと言えるのだろう。  そのほか、ゲーム理論やメモ術の本を手に取り、奥付や目次、図版などを検討して棚に戻す。「この本は丁寧に作ってあるけれど、タイトルがもったいない感じ」と言ってキープしたのは、『最強の集中術』(ルーシー・ジョー・パラディーノ)。

株・投資コーナーでは、海外著名投資家の棚を見て、「ほとんど持っています」。なぜ、翻訳ものがよいのだろうか。「一度スクリーニングが済んでいるからです。日本にはまず、すでに本国で定評を得たいいものしか入ってきません」。なるほど、海外の巨大なブック・マーケットでふるいにかけられ、淘汰されている。一定のクォリティに達したものが、翻訳書として書店の棚に並ぶというわけだ。勝間さんがここで購入を決めたのは、『複雑系と相場』(トニス・ヴァーガ)。

ビジネススキルや自己啓発系のコーナーでは、上から下まで棚差しを吟味。「神田昌典さんの本がずらりですね」。その中に、『幸福に通じる心の品格』(ジェームズ・アレン)を見つけると、「ジェームズ・アレンはいい思想家であり、哲学者です。だけど、この題名は……」。原題をあらためたところ、「やっぱり。“Out from the Heart” だもの」。

また、最上段にコヴィー本やオーディオブックが並べられているのを見ると、怯むことなく可動式ステップに上り、次々とチェック。結局、『メーク・ラックすごい幸運力!』(マーク・マイヤーズ)、『感動を売りなさい─相手の心をつかむには「物語(ストーリー)」がいる。』(アネット・シモンズ)などをキープ。書店歩きを始めて間もないこの段階で、抱える本はすでに8冊になっていた。

マーケティングや広告関連のコーナー。現代マーケティングの第一人者、フィリップ・コトラーを始め、勝間さんが好きな『マーケティング・ダイアログ』『マーケティング・インタフェイス』(ともに、石井淳蔵/石原武政)が棚差しされている。また、『第三の消費スタイル─日本人独自の“利便性消費”を解くマーケティング戦略』(野村総合研究所)を手にし、「日本では利便性商品が売れる、日本の消費者は国産品の品質を信頼している、日本にはハイコンテクストカルチャーに対する消費者の信頼がある、そういう主張をしている本だと思います」。

 ただ、こんな感想も。「どの本も、結局は大半は同じことをいっているんですよね。そうしょっちゅう、奇抜なアイディアは出てきませんし。新しい食材が増えないのと同じで、それよりも、著者がいかに素材を料理するかですね」。
そして、最近の傾向として、特に女性著者の場合は、帯に著者写真を載せるケースが増えている。この日も友人である須藤実和さんの本を見つけ、「須藤さん、美人ですよね。何年か前、2000年ころでしたか、人から教えられたんです。“女性は美人でないと出世しないよ” って。美人かどうかはともかく、確かにこぎれいにしているだけで、「aboveaverage」(「平均点以上)は取れるんですね。それで私はよく、“就活するならまず美容院へ行きなさい、メイクを習いなさい、歯を矯正しなさい!”って言うんです(笑)」。帯写真を眺めながらの書店歩きも、リアル書店ならではの楽しみかもしれない。

経営関連のコーナーへ。推薦本『ブルー・オーシャン戦略─競争のない世界を創造する』(W・チャン・キム)を見つけ、「この本はいいですよ。ケースの寄せ集めだと言われることもありますが、これよりいいのは、まだほかにないと思います」。

会計本コーナーでも、気になった本は目次で構成をつかみ、奥付で著者を確認していく。勝間さんの『決算書の暗号を解け!』も置かれているが、それにしても“決算書”というテーマひとつになんと多くの本が出版されていることか。「決算ニーズは高いんです。似たような本が多いかもしれませんが」。そんな百花繚乱のコーナー中、勝間さんのお薦めは、なんと『バロンズ英文会計用語辞典』(J・G・シーゲル/J・K・シム)。「いいですよ、これも(笑)」。

「私もたまに書いています」というハーバードビジネスレビューコーナーには、推薦本のひとつ、『「経験知」を伝える技術─ディープスマートの本質』(ドロシー・レナード/ウォルター・スワップ)も。

「ビジネス書のランキングがあります」と、中央通路側へ出る。この週の1位は、『フレームワーク力』。推薦本も何冊かランキングに入っている。

中央通路のイベントコーナーへ寄り道。『格差と希望─誰が損をしているか?』(大竹文雄)がディスプレイされているのを見て、「大竹文雄さんのワークショップには、ときどきですが、大阪まで出かけて参加しています」と購入決定。
  ここまで「気になった本は買っちゃおう!」と言いながら本を抱えてきたが、その数なんと12冊。「さすがにこれくらいになると重いです。でも、こんなに買っても本代なんて、飲み代に比べたら安いものですよ!」。

「だいたい読んでいます」という経済書コーナーへ。『豊かさの誕生─成長と発展の文明史』(ウィリアム・バーンスタイン)を棚差しに見つけて、「いつか、こういう本を書きたいですね」。『バブル再来』(ハリー・S・デント・ジュニア)は、神田昌典さんが監訳者。「神田さんが訳す前に、原書で読みました。マニアックだけど、いい本です。なので、神田さんが訳されてびっくりしました。神田さんは目利きですね」。

奥の棚へ。『人口ピラミッドがひっくり返るとき─高齢化社会の経済新ルール』(ポール・ウォーレス)、『極端な未来─経済・産業・科学編』(ジェームズ・キャントン)を発見し、購入決定。ウェブ検索で見つけても、実際にページをめくってみないと購入に迷う本である。「こういう本は、書店でしか買えませんね」。

総務省統計局の『家計調査年報』や日本統計協会の『統計でみる日本』をはじめ、さまざな政府刊行物、白書、年鑑が並ぶこの一画は、勝間さんが好きなコーナーのひとつ。『レジャー白書』など、毎年のように購入している白書もあるそうだ。あらゆる数値データから、日本の今の姿が見えてくる。

最後は法学書コーナー。ただし、「この手の本は、何を読めばいいかわからなければ、友だちに聞くところです」。レジに向かいながら、「小説も、詳しい人に教えてもらうことにしています」

1階で会計を済ませたあと、エスカレーターで4階へ。オーディオブックの本拠地だ。勝間さんが推薦している、アービンシャー・インスティチュートやジェームズ・アレンの原書版など自己啓発やビジネス関連本のほか、ファンタジー小説のオーディオブックも並ぶ。「この『The Clan of the Cave Bear (Earth’s Children)』(邦題『エイラー地上の旅人』ジーン・アウル)は大好きです」。

この日の滞在時間は、約60分。購入を決めた本は16冊だった。

リブロ 青山店へ

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