勝間和代『読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか』 定価:777円(税込) 小学館101新書 小学館101新書


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勝間和代の書店コラム

書店ぶらぶら歩き どんなに忙しくても書店めぐりは欠かさない勝間さん。今日もいきつけの書店にぶらりと立ち寄って、さてどんな本を選んだのでしょう。 ある日のぶらぶら歩き Vol.2 リブロ 青山店

2008年7月2日 撮影/深山徳幸

「1か月に2〜3回はお見かけします。自転車のヘルメットを抱えていらっしゃるので、すぐにわかります」と、勝間さん情報を教えてくれたのは、東京・北青山にあるリブロ青山店の福川麻子店長。店内には勝間さん直筆のポップがあちこちに。 「行きつけのネイルサロンが近いので」、その行き帰りに立ち寄るという勝間さんだが、時間があれば「ポップを書かせてください!」と店員さんにお願いし、自著の解説とサインをカードに書き添えるという。「ふつう、滞在時間は30分くらい」の“勝間式書店ぶらぶら歩き”。リブロ青山店での軌跡は以下のとおり。

真っ先に立ち寄るのは、新刊や話題書がディスプレイされているイベントコーナー。入り口に面して並べられた文芸書の中から、気になった本をパラパラめくり、POPもさりげなくチェック。

裏は話題の実用書コーナー。6月に発売された ばかりの『ビジネス頭を創る7つのフレームワーク力』がずらり。

申し訳ないけれど、ここらへんは素通りしちゃいます」。レジカウンター前の雑誌コーナーには目もくれず、ずんずん進んで奥の経済・経営・会計本コーナーへ。

途中、ビジネス書の平台で足を止める。かつて『日はまた沈む』がベストセラーとなったビル・エモットの新刊を眺め、しばし考え込む。

書店イチ押しの新刊が並ぶ平台では、「今日は、気になる本があまりありませんね。前回立ち寄ったときと同じ顔ぶれだし、既に読み終えた本ばかりなので」。その、勝間さんが「読み終えた」という本を見ると、どれも翻訳もの。「ほとんど原書の段階で読んでしまっているんです。ですから、訳書が出てもあまり買わないですね」。  だが、知っている本ばかりだからといって、気を緩めているわけではない。少しでも気になった本は手に取り、表紙を眺め、目次にじっくり目を通してから、パラパラとページをめくる。「自分の本のコンペティター(競争相手)にあたる本の、商品チェックですね。買わないにしても、必ず立ち寄って見ることにしています」。

自己啓発書やマネージメント関連の本が置かれたコーナーには、勝間さんの読書歴を語る上では欠かすことのできない本が並ぶ。『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)を始め、『自分の小さな「箱」から脱出する方法』(アービンジャー・インスティチュート)、『決定版 仕事は楽しいかね?―会社の宝になる方法』(デイル・ドーテン)などお気に入りを見つけると、まるで恋人に再会したかのように目を輝かせる。「どれも定評がある本です。ひととおり読んでいますが、目にするとやはり手に取りたくなります」。  また、「ハーバード系の翻訳本も、必ずチェックします」と言いながら、『知的な未来をつくる「五つの心」』(ハワード・ガードナー)を購入決定。「こうしてみると、私の場合は、ほとんどが著者買い4 4 4 4 ですね。もちろん、装丁など本としてのつくりも検討しますが、デザインが好みじゃないから買わない、ということはありません。まず著者で買います」。

株式投資コーナーも、専門分野だけに必ずチェックする棚だ。平積みよりも棚差しの本を熱心に見て回る。「年中来て眺めているので、新しく入ってきた本は自然と目に飛び込んでくるんです」。本によっては頭からではなく、著者プロフィールや刷数などが記載されている後ろの奥付ページから開き、目次へとさかのぼって目を通す。「ジャケ買い4 4 4 4 4しない(装丁デザインが購入の決め手にはならない)のは和書でも洋書でも同じですが、和書の場合は特に、タイトルと著者プロフィールを検討して、よさそうだと思った本を選びます」。初めての著者と“お見合い”するときは、著者プロフィールから。書店ぶらぶら歩き初心者にも使えそうなテクニックだ。

勝間さんたちが始めた印税寄付プログラム〈Chabo!(チャボ)〉の本が並べられているコーナー。

会計本コーナーは、「新しい本が出たころ、必ずチェックするコーナーです」。ただし、この日は特に気になる本はなし。

経営戦略本コーナーへ。ここでは、棚差しから平積みまで丹念に眺める。「この棚にあるものだけで、15冊くらい既に持っています」と言うだけあって、『イノベーションのジレンマ』(クレイトン・クリステンセン)や『競争の戦略』(M・E・ポーター)など、お薦め本を即座に見つけてしまう。勝間さんの勉強法に多大な影響を与えた神田昌典さんの、『60 分間・企業ダントツ化プロジェクト』も棚差しにあった。

「“ダントツ化”なんて、くだけたタイトルがついていますが、中身は超まじめな本です」。また、ドラッカーのコーナーに並んでいた『テクノロジストの条件』を手に、「この本はもう処分してしまったんです。でも3年はたっているので、もう一度読み返そうかな。あのときとは違う気づきがあるかもしれませんし」。ほかにも次々と取り出してはパラパラめくり、目次や中に書かれた図式、グラフなどにも目を配って『サービス・ストラテジー』(ジェームス・トゥボール)をキープ。

経済・広告・マーケティング本コーナーへ。勝間さん推薦本のひとつ、『暴走する資本主義』(ロバート・B・ライシュ)が、棚差しから平台に昇格していた。勝間さんが書店ブラウジングにこだわるのには、わけがある。例えば、このコーナーですぐに買うことにした『ブランディング22の法則』(アル・ライズ/ローラ・ライズ)や『全米bPのセールスライターが教える10倍売る人の文章術』(ジョセフ・シュガーマン)は、どちらも棚差し。「こういうマイナーな本は、アマゾンなどのネット書店での検索では、まず見つけられません」。  その点、書店では、何冊も並んでいる中から実際に手に取って比較検討し、目的に合う本を選ぶことができる。しかも、棚差し本は表紙が見えないため、直観で選んだ本との相性をみるという楽しみもある。「私の本も平積みしていただきながら何ですが、平積み本の中には、表紙やタイトルはキャッチーでセンセーショナルなんですが、じっくり読んでみようという気持ちが起きないものも多いんですね」。ここまでで、勝間さんがキープした本は7冊にのぼった。

ビジネス関連コーナーを堪能した後は、「このあたりの本も、必ず見ます」という、各国事情や社会問題、心理学や精神世界のコーナーへ。『女女格差』(橘木俊詔)は「データが豊富で正確ですね。面白いですよ」。『母親にしかできないこと 思春期を暴走する少女たちとの日々』(シェリル・デラセガ)を手にして、「最近、こういう本も気になります」。

 そして、いよいよ「私が大好きな、ポピュラーサイエンス」のコーナーへ。それほど面積の広いコーナーではないが、自然科学から脳科学、数学や環境問題まで、多岐にわたる。その中から、『マリー・キュリー フラスコの中の闇と光』(バーバラ・ゴールドスミス)を見つけ、「マリー・キュリーは大好きな人のひとりです」。また、「IQや脳科学関係の本は、ほとんど持っています」と言うが、購入に迷うものもある。『怪しい科学の見抜きかた─嘘か本当か気になって仕方ない8つの仮説』(ロバート・アーリック)をめくりながら、「これは……買ったけれど読んでいないか、あるいは、やはり一度も買っていないか、どちらかです。買って帰ると、うちにあったりすることも多いので(笑)」。結局、『脳と無意識─ニューロンと可塑性』(フランソワ・アンセルメ/ピエール・マジストレッティ)を買うことに。

最後に足を運んだのは、新書コーナー。さまざまな分野の研究や思想を気軽に読むことができる新書は、まさに知の宝庫。棚差しの著者名をじっと目で追い、気になった本を次々とめくっていく。『ヒラリーとライス─アメリカを動かす女たちの素顔』(岸本裕紀子)、『ツキの法則─「賭け方」と「勝敗」の科学』(谷岡一郎著)は、「もう読みました」。平積みから、「似たような本を今作っているので、参考のために」と、『「日本は先進国」のウソ』(杉田聡)を取り上げる。1967年以来のロングセラー、『タテ社会の人間関係─単一社会の理論』(中根千枝)が今も平積みされているのを目にして、「こういう本を作りたいものです。

新書は、女性著者の息が長いですね」。自著『お金は銀行に預けるな』も、このコーナーにディスプレイされている。  また、「この先生は、“空気”の研究をしているというのですから、面白いですよね。これは続編ですね」と、『「関係の空気」「場の空気」』(冷泉彰彦)を購入へ。中島義道氏の近著を見つけ、ちょっと首を傾げてプロフィールをチェックする。「私は、中島義道さんなら『ひとを“嫌う”ということ』が好きなんですが……。ここにもあると思いますよ」。見回すと確かに並んでいた。

そして、最後の最後に、文芸書コーナーを見て回る。「時間があれば、サーッと歩く程度ですが、主に文庫本を見ていきます」。勝間さんの意外な一面もわかった。平台にアメリカのベストセラー推理小説「検屍官」シリーズが並べられているのを見て、「パトリシア・コーンウェルって、私、好きなんです。過去の恋愛感情をダラダラと引きずるところもいいですね(笑)」。勝間さんの読書範囲は非常に広いものだった。ここでは、女優の黒木瞳さんに薦められて読んだ『陽気なギャングが地球を回す』(伊坂幸太郎)の続編、『陽気なギャングの日常と襲撃』の購入を決めた。

この日の滞在時間は、ふだんより少し長く、40分間くらい。購入を決めた本は10冊だった。

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