神保町シアター

S33('58)／松竹大船／カラー／1時間37分

■監督：中村登■原作：梅崎春生■脚本：椎名利夫■撮影：長岡博之■音楽：黛敏郎■美術：芳野尹孝■出演：佐田啓二、有馬稲子、小山明子、日守新一、三井弘次

梅崎春生の直木賞受賞作を戦後大船調の代表格・中村登が映画化。あるオンボロ邸宅の権利を巡って巻き起こる騒動を描いたドタバタ喜劇。佐田・有馬の美男美女カップルを取り巻く曲者役者の顔ぶれも豪華。

S31('56)／東宝／白黒／1時間27分

■監督：筧正典■脚本：八木沢武孝■撮影：玉井正夫■音楽：松井八郎■美術：北辰雄■出演：佐野周二、三宅邦子、岡田茉莉子、雪村いづみ、小泉博、瑳峨三智子

一介のサラリーマン・弥太郎(佐野)は、上司とその浮気相手の別れ話に巻き込まれ、家族から不貞を疑われる羽目に。父の疑惑にヤキモキする娘役・雪村のキュートさも魅力のホームコメディ。

S36('61)／新東宝／白黒／1時間27分

■監督：中川信夫■原作：豊田正子『粘土のお面』■脚本：館岡謙之助■撮影：平野好美■音楽：木下忠司■美術：黒沢治安■出演：伊藤雄之助、望月優子、二木てるみ、津沢彰秀、北沢典子、宇津井健、田崎潤

貧しさの中、懸命に生きるブリキ職人一家を描く珠玉の一作。苦しくても明るさを失わない家族をみつめた中川監督の演出に心温まる。ダメ親父の伊藤、逞しい母の望月、子役の上手さに泣き笑い。

＊デジタル上映

S41('66)／東宝／カラー／1時間46分

■監督：千葉泰樹■原作：松山善三■脚本：松山善三、千葉泰樹■撮影：中井朝一■音楽：黛敏郎■美術：阿久根巌■出演：京マチ子、司葉子、杉村春子、団令子、星由里子、小林桂樹、仲代達矢

歯科医院を継いだ長女(京)と次女(司)の結婚を、既婚の三女(団)と四女(星)が案じ、波紋が広がるが…。四姉妹を豪華女優陣が賑々しく演じるホーム・コメディの逸品。母親役の杉村はさすがの巧演。

S24('49)／松竹京都／白黒／1時間49分

■監督：木下惠介■脚本：木下惠介、小林正樹■撮影：楠田浩之■音楽：木下忠司■美術：小島基司■出演：阪東妻三郎、村瀬幸子、森雅之、木下忠司、大泉滉、小林トシ子、桂木洋子

巨匠・木下惠介が手がけた珍しい軽妙なコメディ。傲慢で頑固一徹の家長・軍平(阪妻)に嫌気がさした家族は、次々に家出してしまう。監督の実弟で音楽家の忠司が次男役で出演、主題歌も披露する。

S28('53)／東宝／白黒／1時間27分

■監督：市川崑■原作：森本薫『華々しき一族』(戯曲)■脚本：和田夏十、井手俊郎■撮影：玉井正夫■音楽：黛敏郎■美術：村木忍■出演：有馬稲子、岡田茉莉子、越路吹雪、三國連太郎、菅井一郎、伊藤雄之助、沢村貞子

映画監督と舞踏家の熟年結婚が引き起こす恋愛狂想曲。越路と岡田が演じる美しい母娘がそろって翻弄される青年役に、若き日のエキゾチックな風貌の三國が扮し、雰囲気たっぷりに演じている。

S39('64)／日活／カラー／1時間25分

■監督：森永健次郎■脚本：三木克巳■撮影：松橋梅夫■音楽：崎出伍一■美術：横尾嘉良■出演：吉永小百合、浅丘ルリ子、芦川いづみ、和泉雅子、浜田光夫、和田浩治、山内賢

年頃の三姉妹は、父と若い再婚相手を気遣い、姉の嫁入り先である東京まで家出を決行するが…。芦川、浅丘、吉永、和泉の日活四大女優が競演した華やかな一本で、姉妹それぞれの恋模様も描かれる青春篇。

＊デジタル上映

H15(2003)／「阿修羅のごとく」製作委員会／カラー／2時間16分

■監督：森田芳光■原作：向田邦子■脚本：筒井ともみ■撮影：北信康■音楽：大島ミチル■美術：山崎秀満■出演：大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子、小林薫、八千草薫、仲代達矢

父親に愛人と隠し子が発覚した四姉妹。だが、姉妹にも秘密や悩みがあり…。向田邦子の名作ドラマの映画化で、当代の人気女優陣がいきいきと火花を散らす。ドラマ版で次女役の八千草が母親を演じた。

S14('39)／東宝東京／白黒／1時間6分

■監督・脚本：成瀬巳喜男■原作：徳永直■撮影：鈴木博■音楽：太田忠■装置：松山崇■出演：徳川夢声、本間敦子、生方明、伊東薫、平田武、大日方傳

将来を案じ進学を望む職工の息子の焦燥と、その願いを叶えてやれない父親の苦悩――。貧しい一家の葛藤と情愛を、名匠・成瀬が細やかに綴った好篇。胸が熱くなる、意外な"でんぐり返し"をお見逃しなく。

S37('62)／日活／白黒／1時間40分

■監督：浦山桐郎■原作：早船ちよ■脚本：今村昌平、浦山桐郎■撮影：姫田眞左久■音楽：黛敏郎■美術：中村公彦■出演：吉永小百合、浜田光夫、東野英治郎、菅井きん、市川好郎、加藤武、北林谷栄

鋳物の街・川口を舞台に、職工の娘(吉永)の姿を通して、貧困や差別など当時の社会問題を真正面から描いた青春ドラマ。吉永がブルーリボン賞主演女優賞を受賞し、その名を世に知らしめた不朽の名作。

S32('57)／東宝／白黒／1時間12分

■監督：鈴木英夫■原作：中村武志■脚色：井手俊郎■撮影：山崎一雄■音楽：宅孝二■美術：小川一男■出演：佐野周二、望月優子、久慈あさみ、団令子、佐原健二、杉葉子、千石規子、南美江

平凡なサラリーマンの家庭生活を描く「目白三平」シリーズの第三作(東宝での初作)。三平にひょんなことから浮気疑惑が持ちあがり…。相性抜群の佐野と望月の温かい夫婦愛はユーモアもたっぷり。

H10('98)／トラム＝松竹＝衛星劇場／カラー／1時間40分

■監督：相米慎二■原作：村上政彦■脚本：中島丈博■撮影：長沼六男■音楽：大友良英■美術：小川富美夫■出演：佐藤浩市、斉藤由貴、富司純子、藤村志保、山崎努、三浦友和、余貴美子

平凡な会社員の前に、幼い頃に死んだはずの父が現れ…。ベルリン映画祭批評家連盟賞、キネマ旬報ベストテン第一位に輝いた滋味深い傑作家庭劇。富司、藤村、三林ら熟練女優の軽やかな好演に心躍る。

S31('56)／東宝／白黒／1時間48分

■監督：稲垣浩■原作：島崎藤村■脚本：菊島隆三■撮影：飯村正■音楽：深井史郎■美術：北猛夫、植田寛■出演：笠智衆、田中絹代、加東大介、雪村いづみ、山本廉、中北千枝子

島崎藤村の自伝的小説が原作。妻に先立たれた大学教授(笠)と四人の子供たちの成長を、温かな眼差しで描く。小津作品では静かな演技の笠が、子育てに悪戦苦闘する父親を人間味豊かに演じる秀作。

S37('62)／東宝／白黒／1時間51分

■監督：成瀬巳喜男■脚本：井手俊郎、松山善三■撮影：安本淳■音楽：斎藤一郎■美術：中古智■出演：高峰秀子、笠智衆、杉村春子、司葉子、小林桂樹、三橋達也

長男の未亡人(高峰)を柱に、雑貨店を営む一家では、親子兄弟姉妹の感情が波立ち…。大家族の微妙な人間模様をすくい取る、成瀬の手腕が鮮やかなオールスター映画。笠と杉村の老夫婦が絶妙だ。

S38('63)／日活／カラー／1時間30分

■監督：斎藤武市■原作：源氏鶏太『緑に匂う花』■脚本：才賀明■撮影：横山実■音楽：吉田正、　大森盛太郎■美術：坂口武玄■出演：吉永小百合、浜田光夫、山内賢、伊藤雄之助、三宅邦子、山岡久乃、近藤宏

BGの蕗子(吉永)は、父親の定年後の家計を心配し、家を出て暮らす兄姉や下宿人をも巻き込んで、家族のために奮闘するが…。小百合をめぐる浜田・山内の恋のバトルも爽快な青春ドラマ。

S58('83)／にっかつ＝NCP＝ATG／カラー／1時間46分

■監督・脚本：森田芳光■原作：本間洋平■撮影：前田米造■美術：中澤克巳■出演：松田優作、伊丹十三、由紀さおり、宮川一朗太、辻田順一、松金よね子、戸川純

問題児の受験生の型破りな家庭教師(松田)が、家族に波乱を呼ぶ。ホームドラマの約束事を逆手に取り、シュールな笑いで冷めた家族関係を鮮烈に切り取った。この年の映画賞を独占した、今なお斬新な一作。

S35('60)／東宝／カラー／2時間2分

■監督：成瀬巳喜男■脚本：井手俊郎、松山善三■撮影：安本淳■音楽：斎藤一郎■美術：中古智■出演：原節子、高峰秀子、三益愛子、森雅之、宝田明、団令子、草笛光子、杉村春子

家長(三益)そっちのけで相続問題が沸き起こり、家族それぞれの思惑が交差する。東京・山の手を舞台に、長女・原節子、長男・森雅之、長男の妻・高峰秀子など豪華俳優陣を配した家族劇。

S36('61)／松竹大船／カラー／1時間28分

■監督：渋谷実■原作：中野実■脚本：松山善三、渋谷実■撮影：長岡博之■音楽：黛敏郎■美術：浜田辰雄■出演：岩下志麻、笠智衆、淡島千景、高峰三枝子、川津祐介、乙羽信子

世界的な学者ながら変わり者の大学教授が、文化勲章をもらうために上京し、行く先々で騒動を起こす。奇行奇癖で周囲を惑わす主人公を、名優・笠智衆が巧みに演じて笑いを誘う朗らかな家族劇。

S44('69)／松竹大船／カラー／1時間30分

■監督：森崎東■原案：山田洋次■脚本：大西信行、森崎東■撮影：高羽哲夫■音楽：山本直純■美術：熊井正雄■出演：倍賞美津子、清川虹子、渥美清、河原崎建三、花澤徳衛、沖山秀子、春川ますみ

無神経な家族に嫌気がさした次男と女子工員の恋の行方は…。森崎監督のデビュー作で、女の逞しさと男の頼りなさが最高の笑いを誘う傑作喜劇。爆弾告白で全てをひっくり返す母親役の清川が圧巻の貫禄。

S59('84)／ディレクターズカンパニー＝国際放映＝ATG／カラー／1時間46分

■監督：石井聰亙■脚本：小林よしのり、神波史男、石井聰亙■撮影：田村正毅■音楽：1984■美術：細石照美■出演：小林克也、倍賞美津子、工藤夕貴、有薗芳記、植木等

念願の一戸建てを手にした家族のもとに、祖父が舞い込み、全てが狂い出す――。家族の対立が、危険な家庭内バトルへ発展する、鬼才・石井聰亙(岳龍)が仕掛けた痛快異色作。植木が軍服で戦う祖父役を怪演。