これまでの特集企画
川本三郎編 映画の昭和雑貨店
「昭和30年代ノスタルジア」
1. あした来る人
- S30('55) 日活
- 白黒
- スタンダード
- 1時間55分
- 監督:川島雄三
脚本:菊島隆三
撮影:高村倉太郎
音楽:黛敏郎
美術:中村公彦
原作:井上靖
出演:月丘夢路、新珠三千代、三橋達也、三国連太郎、山村聡
カラコルム遠征を目指す登山家とその妻、そして銀座のブティックの女性店主らによる恋愛模様。鬼才川島の作品中もっとも端正な文芸映画で、和装の月丘と洋装(森英恵による)の新珠が美を競う。
◆30年代見どころ→
2. 男ありて
- S30('55) 東宝
- 白黒
- スタンダード
- 1時間50分
- 監督:丸山誠治
脚本:菊島隆三
撮影:玉井正夫
音楽:斎藤一郎
美術:小川一男
出演:志村喬、夏川静江、岡田茉莉子、三船敏郎
家庭を犠牲にし野球一筋の老監督と、それでも彼を支えた家族の物語。遠征に明け暮れるプロ野球のリアルな日常描写がすばらしい名作。妻とのデートに戸惑う「勝負の鬼」を演じる志村の名演に酔う。
◆30年代見どころ→
3. 渡り鳥いつ帰る
- S30('55) 東京映画
- 白黒
- スタンダード
- 2時間8分
- 監督:久松静児
構成:久保田万太郎
脚本:八住利雄
撮影:高橋通夫、玉井正夫
音楽:団伊玖磨
美術:伊藤熹朔
原作:永井荷風(「春情鳩の街」「にぎりめし」)
出演:田中絹代、森繁久弥、高峰秀子、岡田茉莉子、久慈あさみ
向島の遊廓「鳩の街」を舞台に、娼家の主人に納まった男と女将、そして様々な境遇の娼婦たちを通して人生の浮き沈みを描いたオールスター映画。荷風作品の最初の映画化で、名画座の定番作品。
◆30年代見どころ→
4. 洲崎パラダイス 赤信号
- S31('56) 日活
- 白黒
- スタンダード
- 1時間21分
- 監督:川島雄三
脚本:井手俊郎、寺田信義
撮影:高村倉太郎
音楽:真鍋理一郎
美術:中村公彦
原作:芝木好子
出演:新珠三千代、三橋達也、轟夕起子、河津清三郎、芦川いづみ
洲崎遊廓の手前、洲崎橋のたもとの一杯飲み屋に流れ着いた文無しワケ有り男女の切ない日々を活写した川島の代表傑作。ロケとセットを巧みにつなぎながら、今は無き悪所の風景を堪能させてくれる。
◆30年代見どころ→
5. 永すぎた春
- S32('57) 大映東京
- カラー
- スタンダード
- 1時間39分
- 監督:田中重雄
脚本:白坂依志夫
撮影:渡辺公夫
音楽:古関裕而
美術:柴田篤二
原作:三島由紀夫
出演:若尾文子、川口浩、川崎敬三、船越英二、角梨枝子
古本屋の娘と重役の息子が婚約。大学卒業までは清い交際を誓い合うが、誘惑や障害がふたりを待ち受けていた。流行語にもなった三島由紀夫の小説の映画化で、当時のモラルとの葛藤が綴られる。
◆30年代見どころ→
6. 鰯雲
- S33('58) 東宝
- カラー
- シネスコ
- 2時間10分
- 監督:成瀬巳喜男
脚本:橋本忍
撮影:玉井正夫
音楽:斎藤一郎
美術:中古智
原作:和田伝
出演:淡島千景、新珠三千代、司葉子、水野久美、中村鴈治郎
厚木近郊の農村地帯を舞台に、地縁血縁に縛られた封建的社会に押し寄せる新しい時代の波を捉えた成瀬には珍しい農民映画。その上カラーもシネスコも初の取り組み、脚本の橋本も初顔合わせだ。
◆30年代見どころ→
7. 東京の瞳
- S33('58) 大映東京
- カラー
- ビスタ
- 1時間28分
- 監督:田中重雄
脚本:舟橋和郎、星川清司
撮影:中川芳久
音楽:古関裕而
美術:間野重雄
原作:川口松太郎
出演:山本富士子、若尾文子、川口浩、船越英二、千田是也
「ホンダ・モータース」を舞台に、輸出部門で働く若者と商業デザイナーの姉、そして社長令嬢らの恋の行方を描く。この年7月、スーパーカブを発表することになるホンダとタイアップした正月映画。
◆30年代見どころ→
8. 巨人と玩具
- S33('58) 大映東京
- カラー
- シネスコ
- 1時間36分
- 監督:増村保造
脚本:白坂依志夫
撮影:村井博
音楽:塚原晢夫
美術:下河原友雄
原作:開高健
出演:川口浩、野添ひとみ、高松英郎、伊藤雄之助、小野道子
企業の苛烈な宣伝合戦をスピーディーに描いた増村初期の代表作。CMで一躍マスコミの寵児になる小娘と翻弄される若い宣伝部員のけたたましい狂騒曲。高度経済成長直前でもこんなにすごかった。
◆30年代見どころ→
9. 一粒の麦
- S33('58) 大映東京
- カラー
- スタンダード
- 1時間50分
- 監督:吉村公三郎
脚本:新藤兼人、千葉茂樹
撮影:中川芳久
音楽:池野成
美術:間野重雄
出演:若尾文子、菅原謙二、東野英治郎、田中三津子、松山英太郎
福島の中学から集団就職し、様々な境遇の中でけなげに生きていく子どもたちと、彼らを見守る就職担当の教師の交流を描く。上野駅の大群衆など、当時の貴重な風物や社会問題を見事に捉えている。
◆30年代見どころ→
10. たそがれの東京タワー
- S34('59) 大映東京
- 白黒
- シネスコ
- 1時間4分
- 監督:阿部毅
脚本:星川清司
撮影:小林節雄
音楽:塚原晢夫
美術:山口煕
出演:仁木多鶴子、小林勝彦、金田一敦子、三宅邦子、市田ひろみ
銀座の洋裁店に住込みで働く孤児院育ちのお針子が、閉店後に売り物のコートを着て東京タワーに昇ったことから始まる可憐な恋物語。夜の東京タワーでしか会えない娘に恋い焦がれた青年は…。
◆30年代見どころ→
11. 母のおもかげ
- S34('59) 大映東京
- 白黒
- シネスコ
- 1時間29分
- 監督:清水宏
脚本:外山凡平
撮影:石田博
音楽:古関裕而
美術:仲美喜雄
出演:根上淳、淡島千景、毛利充宏(道夫)、安本幸代(エミ子)、見明凡太朗
母の形見の伝書バトでさびしさを紛らわし、水上バスの運転手の父と二人で暮らす道夫に、新しい母と妹ができる。童心を描くことに定評のあった巨匠清水宏の遺作で、その本領を発揮した母もの。
◆30年代見どころ→
12. 東京の孤独
- S34('59) 日活
- 白黒
- シネスコ
- 1時間45分
- 監督:井上梅次
脚本:松浦健郎、井上梅次
撮影:高村倉太郎
音楽:大森盛太郎
美術:中村公彦
原作:井上友一郎
出演:小林旭、芦川いづみ、大坂志郎、月丘夢路、宍戸錠
オーナーとの確執を抱える監督が、新人テストに現れた投手に惚れ込むが、彼は姿を消してしまう。プロ野球を舞台に勝負師たちの確執を興趣あふれる展開で描く。アキラとジョーの野球対決も見もの。
◆30年代見どころ→
13. 二人の息子
- S36('61) 東宝
- カラー
- シネスコ
- 1時間33分
- 監督:千葉泰樹
脚本:松山善三
撮影:玉井正夫
音楽:伊福部昭
美術:阿久根巌
出演:加山雄三、宝田明、白川由美、藤原釜足、望月優子
大学を出たエリートの兄と下積みの弟が、年老いた両親の処遇を巡って対立する。数々の逆境に向かい合う加山の凛とした明るさが感動を呼ぶ秀作。『大番』で知られるベテラン千葉の代表作のひとつ。
◆30年代見どころ→
14. 婚期
- S36('61) 大映東京
- カラー
- シネスコ
- 1時間38分
- 監督:吉村公三郎
脚本:水木洋子
撮影:宮川一夫
音楽:池野成
美術:間野重雄
出演:京マチ子、若尾文子、野添ひとみ、船越英二、北林谷栄
嫁と二人の小姑の家庭内闘争を描いた傑作コメディ。若尾と北林を筆頭に嬉々として演じる女優陣が最高。水木のオリジナル脚本を得た吉村喜劇の代表作で、後にTVと映画双方でリメイクされた。
◆30年代見どころ→
15. やっちゃ場の女
- S37('62) 大映東京
- カラー
- シネスコ
- 1時間31分
- 監督:木村恵吾
脚本:田口耕
撮影:宗川信夫
音楽:小川寛興
美術:柴田篤二
出演:若尾文子、叶順子、藤巻潤、宇津井健、信欣三
築地の青果市場、通称やっちゃ場を舞台に、仲買商を取り仕切る娘のけなげな決断の物語。築地や佃島の風景、そして下町気質がふんだんに描写される。冒頭のお通夜シーンや冷や酒一気飲みも秀逸。
◆30年代見どころ→
16. 風と樹と空と
- S39('64) 日活
- カラー
- シネスコ
- 1時間26分
- 監督:松尾昭典
脚本:三木克巳
撮影:萩原泉
音楽:池田正義
美術:千葉和彦
原作:石坂洋次郎
出演:吉永小百合、浜田光夫、川地民夫、十朱幸代、安田道代
青森の高校から集団就職し、東京でお手伝いさんになった多喜子。さっそく一家に溶け込んだ底抜けに明るい彼女とその仲間たちの東京生活を綴る明朗篇。エッチな科白も石坂洋次郎ものならでは。
◆30年代見どころ→
17. ALWAYS 三丁目の夕日
- H15(2005) 「ALWAYS 三丁目の夕日」製作委員会
- カラー
- シネスコ
- 2時間13分
- 監督:山崎貴
脚本:山崎貴、古沢良太
撮影:柴崎幸三
音楽:佐藤直紀
美術:上條安里
原作:西岸良平「三丁目の夕日」
出演:吉岡秀隆、堤真一、薬師丸ひろ子、小雪、堀北真希
東京タワー建設中の昭和33年の東京を、CGを駆使して見事によみがえらせた大ヒット作品。人情味あふれる下町の人々の織りなす物語が心地よい涙を誘う。いよいよ登場する続篇を前に特別上映!
◆30年代見どころ→
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